(社)日本水難救済会千葉県支部小湊(こみなと)救難所
(代表 中川 朗・千葉県安房郡天津小湊町)
平成9年9月12日正午頃、千葉県天津小湊町内浦の沖合で人が溺れているとの通報を受けた小湊救難所は、所員3名が直ちに台風の余波で荒れている現場に救助船で急行し、浜遊び中に速い潮で沖合に流され浮き沈みしていた溺死寸前の男性2名を相次いで船上に引き上げ、無事救助された。
平成9年9月12日正午頃、「海で人が溺れているように見える。」との通報が小湊漁協事務所に入った。当時台風19号の影響で海上は波が高くなってきており、また、日頃から潮の流れが速く水難事故の多い海域でもあるため、たまたま漁協事務所に来ていた小湊救難所救助員2名と、通報者の3名で双眼鏡を持ち、自動車で現場海域のよく見える場所へと急いだ。流されている人がいることはすぐに確認できたが、さらに波に呑まれながら岩礁の方に流されている人も確認、計2名が遭難していることが分かった。
救助員2名は、近くの造船所から小湊救難所に状況を報告して救助を求め、通報者には、引き続き双眼鏡で遭難者2名を見失わないように確認していてもらうことを頼み、急いで漁協へ引き返した。
漁協に到着後、岸壁付近にいた救助員に船での出動を依頼し、救助員3名が乗船して遭難現場へと急行した。現場付近は、台風の影響と岩礁海域特有の磯波のため大荒れで波高3〜4メートルもあったが、現場付近沖合近くで減速して捜索をはじめてまもなく、仰向けになって浮き沈みしていた男性1名を発見し救助した。もう1名は岩礁の方へ流されていたことを確認していたので、あおってくる波で危険な状況であったが、慎重な操船で岩礁海域の捜索を続行した結果、間もなくもう1名の男性も発見し船上に引き上げて救助した。大荒れの海上で操船が非常に困難な状況下であったが、救助員の沈着な捜索救助活動が遭難者2名の命を救った。
((社)日本水難救済会推薦)