故.山藤 典夫(さんどう のりお)(昭41.1.15生・群馬県太田市)
平成9年9月14日夜、群馬県桐生市内で発生した窃盗事件の現場に急行し、被疑者を逮捕しようとしたところ、隠し持っていた刃物でいきなり胸部を刺され、重傷を負いながらも怯まず、警棒で凶器を奪い逮捕しようとしたが、再度胸部を刺されその職に殉じられた。
平成9年9月14日午後11時40分頃、群馬県桐生市境野町のビデオ販売店で窃盗事件が発生した。当直勤務だった氏は、事件発生の一報を受けるや窃盗事件現場へ急行した。現場に到着しいち早く店に入り店内の様子を調べたところ、潜んでいた男を発見したので制圧し逮捕しようとした。
店外へ逃れようとした男は隠し持っていた柳刃包丁で氏を攻撃してきた。氏は一度はかわしたがさらに攻撃され、凶器をかわすより一瞬早く男に胸部を一突きされた。氏は重傷を負いながらも怯むことなく、直ちに体勢を立て直して間合いを詰め、携帯していた警棒で男の凶器を打ち落とそうと果敢に踏み出した瞬間、氏は男がやみくもに繰り出してきた凶器で再び胸を刺された。
氏は、再三にわたる男の攻撃で瀕死の重傷を負いながらも、強靱な精神力と旺盛な使命感で男を取り押さえようと再び組み付いたが、必死に抵抗し逃走を試みようとする男と争っている間に力尽き、その場に倒れた。
氏は救急車により桐生市総合病院に急送され手当を受けたが、その甲斐もなく15日午前1時27分心臓貫通創による失血のため、その職に殉じられた。
犯人は臨場してきた警察官によって逮捕された。
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