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a. 法律扶助を利用することのできる人の範囲が広く、比較的資力のある人には負担金(コントリビューション)を課して制度利用の公平をはかっている。

b. 法律扶助にたずさわる弁護士の報酬は、一般の報酬に対してあまり低くならないようにして、制度の普及をはかる。

という内容で発展してきており、最近では不況下の財政事情により法律扶助を受けることのできる人の範囲は厳しくなりましたが、それでも国民の約半数近くの人は制度を利用できます。

イギリスではまた最近、法律扶助のサービスの質を高めるための工夫や、社会福祉・住宅・債務など、低所得者の法律問題を専門に扱うロー・センターと呼ばれる専門の法律事務所の普及、市民相談所など、弁護士でない機関の参加による総合的なサービス・ネットワークの整備が進められています。

 

・・・・・ドイツ

ドイツでは1980年に民事訴訟法の改正が行われ、民事法律扶助の画期的整備がなされるとともに、助言・援助法も制定されて、裁判前の弁護士等による援助制度も整備されました。ドイツでもイギリスと同様に、比較的資力のある利用者には、毎月一定額の負担を課しています。

ドイツの制度は裁判所により運営されています。

 

・・・・・アメリカ

アメリカでは1974年に法律サービス協会法が作られ、この協会を通じて、全米約300の民事法律扶助実施団体に国の資金が配分されています。

アメリカの法律扶助はスタッフ弁護士によりサービスがなされ、法律扶助を受けることのできる人の範囲は国民の約2割程度に制限されていますが、利用者には経済的な負担はありません。

 

*このほかにも、法律扶助はフランス、カナダ、オーストラリアなどで充実した制度となっており、アジアでもフィリピン、シンガポール、韓国などで整備が進んでいます。

 

関する法律扶助制度(法律扶助制度研究会報告書16頁より)

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(注6) 日本関係:1民事に関する法律扶助としては、このほかに、阪神・淡路大震災のための裁判手続等の扶助が994件、法律相談が1万774件(事業費3億2,600円、うち国庫負担3億2,200万円)がある。2法律扶助協会では、国庫補助対象外事業として、無料法律相談(事業費1億3,600万円)、刑事被疑者弁護援助(同2億500万円)、少年保護事件付添扶助(同7,900万円)、中国残留孤児国籍取得支援活動(同1,000万円)、難民法律援助(同50万円)、などの事業を行なっている。3事業費と国庫負担の差額の主たるものは償還金(約9億6,000万円)である。4管理運営費はすべて日弁連、弁護士会及び自治体からの補助金や寄付金などにより賄われている。

 

(注7) 為替レートは、外国の事業規模を掲記した年に合わせて、当該年の平均レートを採用した。(総務庁統計局日本統計年鑑による)ただし、韓国は、入手し得たデータの関係上96年のレートによった。

 

(注8) イギリス、フランス、ドイツ、スウェーデン及び韓国では、弁護士費用について敗訴者負担制度が採られている。

 

 

 

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