民事法律扶助以外の事業
協会では民事法律扶助のほかに、無料法律相談、刑事被疑者弁護援助、少年保護事件付添扶助、難民法律援助、さらには民事介入暴力や精神障害者の退院・処遇改善請求など、多方面にわたって地道な活動を続けています。
これらへの取り組みはまだ充分なものではありませんが、今後の法律扶助の姿を考えるとき、いずれも看過できないものです。
無料法律相談
協会では日本財団の補助により、全国の43支部で無料法律相談事業を実施し、平成9年度では29,063件の実績をあげています。また各支部でも機会あるごとに記念相談などを実施しています。1月24日は法律扶助協会が設立された日です。協会と日弁連はこの日を「法律扶助の日」としていますが、協会ではこの日を中心に記念法律相談を行い、近年では法律事務所の協力を得て、事務所での無料相談を実施しています。
刑事被疑者弁護援助
日本では刑事事件で起訴された人には裁判所が弁護人を選任する、刑事国選弁護の制度がありますが、起訴前の取り調べで身体を拘束されている人にはこの制度はありません。違法な捜査により、無実の人が起訴され、刑罰を受ける危険はこの取り調べの段階にあり、この段階こそ弁護士の助言と援助が強く求められます。
平成2年、福岡や大分の弁護士会が開始した「当番弁護士」は今では全国にひろがり、年間約2万人が、弁護士会の派遣した弁護士による助言を受けています。当番弁護士は警察署などに勾留されている被疑者に面会し1度は無料で助言を与えます。
ところで、日本の刑事手続きでは、捜査機関が被疑者の身体を拘束して取り調べのできる期間が非常に長く、最長では逮捕されてから23日間あります。そこで、協会は日弁連の求めにより、起訴される前の弁護士の活動が必要な人で、自分ではその費用が負担できない人のために以後の活動の費用を負担するようになりました。これが「刑事被疑者弁護援助」と呼ばれる活動です。
刑事被疑者弁護援助の実績は近年急激に増加し、平成9年度では2,836件になっています。日弁運は平成7年度からこのために特別な基金を作り、会員弁護士から特別会費を集めてこのための活動にあてており、協会に対しても、後述の少年保護事件付添扶助と合わせて9,000万円の補助がなされていますが、当番弁護士として活動する弁護士の負担とともに、これに要する資金も増加しており、早急な国の手当てが必要です。