広がる援助の内容
法律知識の提供と事件の代理
どこの国でも、法律扶助ははじめ裁判手続きの援助を中心に発達し、やがて裁判以前の、弁護士による助言や、国民に対する法律的情報の提供にまで、その内容を広げてきています。民事、刑事の裁判手続きはもとより、裁判以前の弁護士による交渉や助言がなされるようになりました。
【法律扶助協会の事業の一覧】
●法律扶助事業(民事法律扶助)
資力に乏しい人のために裁判に必要な費用を立替えて、弁護士を紹介する事業です。扶助を受けるためには、1]自分では費用が出せないこと(資力要件)2]事件が勝訴の見込みのあること という2つの要件が必要です。扶助を受けた人は、月々決まった金額を支払う他には、費用の心配はいりません。
この事業のために、国の補助金が交付されています。
平成5年度からは国の補助金の一部は裁判以前の法的助言などにも使えるようになりました。
●無料法律相談事業
法律問題で困った人に情報や知識を提供するもので、日本財団の補助金を受けて、全国の支部のうち43の支部で実施されている他、それぞれの支部で独自の相談を行っています。
●刑事被疑者弁護援助
犯罪の疑いで警察に逮捕された人が弁護人を必要とするのに自分では費用を支払うことができない場合に援助する制度で、平成2年度から開始されました。このための資金は日本弁護士連合会、弁護士会の補助金の他、法律扶助協会になされた寄附金が使われています。平成9年度では47支部で実績がありました。
●少年保護事件付添扶助
犯罪をおかした疑いで、家庭裁判所の審判を受けようとしている少年のために、弁護士を付添人としてつける制度です。一般の刑事弁護と異なり、少年の将来のためにどのような措置が必要かを検討しながら活動するものです。平成9年度では48支部で実績がありました。
●中国残留孤児国籍取得支援活動
第2次大戦の終結時に中国大陸に残され、肉親と離れ離れになった残留孤児について、日本人であることを確認して戸籍をつくる家庭裁判所の審判手続きを援助するものです。厚生省と日本財団の補助金が交付されています。
●難民法律扶助
日本で難民としての地位を得ることを求める人に申請手続きの援助などを行う他、日本に定住しようとしているインドシナ難民に対して法律知識の普及などを行っています。国際連合難民高等弁務官事務所(UNHCR)の委託により実施されています。
●その他の事業
東京都支部をはじめ、いくつかの支部で外国人人権救済援助、精神障害者法律援助など、それぞれの支部の実情に応じて事業が行われています。