司会者 ほかには何か、よろしいでしょうか。
A もう一つだけよろしいですか。これは質問というか、意見なのですけれども。何か皆さん、役人が今は評判が非常に悪くて、昔はよかったということをおっしゃる方がいますが、私はそんなことは絶対ないと思うのです。といいますのは、その昔山県有朋がわいろでつくったのが椿山荘です。厚生省の岡光ちゃんがもらったのは汚いマンションです。ですから、日本の役人というのはこんなにきれいになっているのだという認識を持っていただきたいと思うのです。(笑)それは昔のほうがもっとひどかった。
司会者 それでは、私のほうからちょっと、非常に素朴な質問ですけれども、例えば、先生も、80年代オイルショック以後、要するに80年代からもう既に日本の企業金融は相当変わったとおっしゃいました。しかし、よく言われているように、日本は間接金融が非常に優位ということで、それで実際には80年代から収益が高い企業は直接市場からいろいろなことができるようになった。しかし、現実に、日本のベンチャー企業、いわゆる高収益・高リスクの企業はなかなか生まれてこない。その原因の一つは、要するに直接金融市場から資金調達ができないと言うことだと思います。直接金融の規制はまだまだたくさんあるということは承知していますけれども、この点について先生は何かありませんか。
宮島 ベンチャーは、これはまた別の次元の問題ですね。今日は、既に上場されている企業を問題にしています。それで、上場された企業の中でも、規制があった結果、今まで、例えば1980年ですと、実は2社ぐらいしか無担保転換社債が発行できなかったという状況から出発して、現在少しずつ拡大している。ご存じのように、93年からは格付け基準に移行しまして、それぞれ格が付いて、トリプルB以上でないと基本的には非常に高い金利を要求される。企業の側は、今、格付けの資料も集めているのですけれども、要するに格付けを取るかどうか自身が既にもう負債選択なのですね。格付けを取らないと負債を発行できないわけですから、要するに格付けを取っているかどうかというのがある種の負債選択なのです。今調べているところだと、上場会社のうち、2000分の1300ぐらいしか格付け自身を取っていないのです。ですからトリプルB以上でないと、多分格付けをあまり取らないと思うのです。
D それはCBですか。
宮島 調べていないのですか、これは多分CBだと思います。あれもコンサーバティブな格付けと、それから最も企業側に有利な格付けとあり得るわけです。