てはいけないわけで、転換されれば別ですけれども、返さなくてはいけないときがあって、そのときにまだ金利が0.5かというのは保証の限りではなくてというのが、その後90年、91年に起きたことです。ですから、その意味では非常にマイオピックだったということになるのでしょうね。ただ、その種の話はここには明示的には組み込まれてモデル化はされていません。
それから、大蔵省のガバナンス、これは難しいです。例えば、先ほど紹介した青木さんなどの議論というのは、日本のシステムを説明するときに、企業に関して、アメリカ的な資本市場というのは少なくとも1980年ごろまでは非常に弱い。そうするとモラルハザードが起きる可能性があるのだけれども、だれがモニターしたか。銀行だと。これは直観的にもそうですし、僕がこれまで調べてきた感じからいっても、そのとおりだと思います。そうすると、銀行は一体だれがモニターしたか。フー・モニター・ザ・モニター(Who monitor the monitors?)という話になるわけです。そのときは大蔵省がモニターしたというのが基本的な理解です。その次に問題になってくるのは、大蔵省のモニターのインセンティブです。通常の経済主体というのは、経済学的に言えば、利潤最大化、あるいは効用最大化で動いていて、そこの中でモニターのインセンティブがあるように制度が設定されているわけですけれども、大蔵省はモニターを一体どういう形でやったかというのは問題です。例えば、天下り先を確保するためにモニターが甘くなるということは、往々にしてあり得るわけです。それが今まではそんなに大きな問題にならなかったのに、近年問題になったというところが難しいところで、これをどう説明するかというのは、意見が分かれるのではないでしょうか。2つの説明があると思うのです。1つは、大蔵省の側に近年変化が生じて、大蔵省の規律が緩んだという説明、もう1つは、今までと同じことをやっているのだけれども、外部環境が変化したから問題が顕在化したという説明だと思うのですけれども、考えさせてもらいます。(笑)
C 最初、このセミナーは専門家のだと言われまして、私は政治と外交しかやっていなかったものですから大変恥ずかしいのですが、逆に言うと、今日の方法論がとてもおもしろくて、来てよかったと思っています。
ただ一つ、お話を聞いているうちに、原因と結果、つまり鶏と卵がときに逆じゃないのかなとか、いろいろ常に思いつつ聞いていたのですけれども、一つだけご質問したいのは、最後にいわゆる抜擢のメカニズムというとてもおもしろいものなのだけれども、