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社、つまり他の銀行でメインバンクのシグナルを信頼して協調融資をしているわけですから、助けないということになると、同業他社から文句を言われる。もう1つは、借り手の集団からも、あの銀行はいざというときに助けてくれないというリプテイションが起きますから、これもペナルティーになる。それから、今までの慣行ですと、大きなところをつぶしてしまって新聞ダネになると、預金者も逃げていくという3つ目のペナルティーがある。この3つのペナルティーが怖いから、あるいは救済が規範化するとこういうリプテイションが定着していたわけですけれども、これに徐々に変化が生じつつあるという感じはあります。ですから、ここでメインバンク関係が変わりつつある、あるいは岐路に立っているというところが現在ではないかと考えております。以上です。

司会者  ほかには何かありますでしょうか。

B  負債の選択のところですけれども、これは私の実感から申し上げるのですが、運用の形態によって負債を選択したということがあるのではないかと思うのです。例えば、エクイティーで0.5%の資金ができると、それを0.75で運用してあげますよというふうに、運用形態で負債の選択が行われたのではないかなという感じがちょっとするということが1つです。

それから、アトランダムで恐縮ですけれども、銀行部門の側の大問題というのは、これはもう本当に大問題だろうと思うのですが、これはガバナンスは大蔵省ががっちりと行っていたわけでして、そのやり方とか、効果というのでしょうか、あるいは方向性というのか、これが大問題であるというご指摘かなと思って、その2つをお伺いします。

宮島  最初のほうは、これはどこか別な機会でやったときに、今、学習院にいらっしゃる奥村さんもよくご存じなだけに、盛んに言われるのです。つまり、借り手の側の資金需要のほうを分解して、実物投資に対する需要と財テクに対する需要とに分解して、それに合わせて資金調達も検討せよというわけです。なるほどというご意見なのですけれども、これは定量的にどうやって分解するかというのがかなり難しい。今は、どういうふうにやるか、このようなテストができる形にどうやって変数を落とし込むかというところでちょっと工夫が必要で、そのときも今後の検討課題だと申し上げたのですが、考えさせていただければ……。それは非常に重要な問題だと思います。ある意味では確かに実際にとられた行動というのはそういう側面が非常に強いと思います。ですから、0.5%で発行して、0.75%で運用するというわけです。ただ、借金というのは返さなく

 

 

 

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