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問題を考えるという理論的なペーパー、あるいは実証的なペーパーの多くはこの点を重視している─日本の場合はテーク・オーバーの可能性はそんなに高くないから、ここのところの選択問題はあまり重要ではないだろうと、あまり説得力はないのですけれども、一応これがエクスキューズです。したがって、質問の点に対しては、とりあえず同時にやるのはちょっと難しいので、最初に比重の高いほうから検討したということにさせてください。この点については、エクイティー関連社債がその後転換されたということが、企業にとって持つ効果と、実際にすぐ増資した場合が持つ効果に差があるのではないかという点が、実務家の間でも指摘されていることを付け加えておきます。例えば持ち合いの維持にインセンティブがあると想定すると、はめ込むタイミングが、一遍に増資してしまうとすごく難しいけれども、転換社債で徐々に転換されている分には容易であることが、技術的にはエクイティー関連債を選好する理由だとかという説明があります。本当かどうかあまりよくわかりませんが、そういうことも今後考えて検討しなくてはいけないと思います。

2番目は株価。これに対する説明もちょっと定型化されているのですが、株価を計算して、A会社とB会社を比べると、ここでやっているのはトービンのQで、分母のほうに総資産の時価をとって、分子が企業価値、株価と発行部数を掛けたもので、先ほど最後の質問に出てきましたが、考え方は、30億を持っていて、それで長谷工を買って自分のものにしてから、全部清算してしまったときに、30億円以上の価値になるかならないかというのをチェックしてみようという話なのです。ですから、分母の時価と、それから分子の企業価値と双方の動きでQの値は変わってくる。株価が上がっているというのは、Qだと相対的に資産に対して高いか低いかというのが出てくるわけです。今計ったQは、そんなに厳密な数字ではないのですが、例えばA社とB社のどちらがより良好なビジネスチャンスを持っているかをチェックするぐらいの指標としては十分使えるだろう。総資産を時価換算して、それで株価×発行株数でQを計算すれば、少なくともA社とB社はどれくらい差があるかまで厳密にはいけないけれども、A社とB社のうち市場がどちらのビジネスチャンスを高く評価しているかをとらえる指標としては使えるだろう、これが一つです。

あともう一つは、これはすごくテクニカルなことなのですが、こういう計算をやると、企業の決算期がばらばらであるというのは、非常に困ったことなのです。もし影響力が

 

 

 

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