4番目、5番目は、基本的には付加的な情報ですから、飛ばしてください。それで次のぺージにいっていただいて、こういうふうに見てきますと、歴史的に見ていくとどういうことが言えるかを要約します。我々の関心がある現代に近いほうに絞って言えば、石油ショック後にどうも経営者の交代に関しては年功ルールが定着したと考えられる。それから、石油ショック後には、直接経営者が交代するのではなくて、外部者が関与する。つまり、社長を取り替えるのではなくて、銀行から副社長を送るとか、専務を送るとか、こういう事例が増加した。そういう意味では、先ほど言いましたように、状態依存ガバナンスというのがこの時期に最も制度化したのではないかと考えます。
それに対して、バブル期、1980年代後半になると、交代とパフォーマンスの関係の相関が低下したということが確認できます。もっとも、この点は強く言えるのかというとちょっと問題で、なぜかというと、交代というのはかなり業績が悪くないとはっきり出てこないですから、80年代というのは円高不況を含んでいるといっても、業績が全体として上のほうにあったために、明確な相関が現れなかったという可能性はあるのです。ただ、僕の理解としては、円高不況というのはそれなりの長さを持っている不況である。いくつかの企業では赤字が出ているということを考えると、資本構成が改善されて、しかも企業が含み資産を持っている。そういう環境ですと、一時的に利益が悪くなっても、経営者は例えば特別損失みたいなもので自由に処理できる資産がありますから、そうすると債権者のモニターから自立できる。だから、交代とパフォーマンスの相関が80年代の後半にやや弱まったのではないか解釈しています。ただ、これは実証的にはちょっと問題がありますが、そういうふうに見られないこともないという結果が出ています。
では、現在どうなっているか、90年代はどうなっているかというと、ガバナンス構造はどうも分化したようです。一つは、メインバンク関係がまだワークしている。逆に言いますと、その企業は負債比率がある程度高くて、その意味でメインバンクの影響力、そこのところではインタレスト・カバレッジ・レシオと外部者の交代の相関が回復するという形で、メインバンクが一定の規律を行使しているという部分があります。ただ、1970年代ぐらいまで、ほぼすべての企業がこのタイプに該当していたと考えられるのですが、現在は半分とか半分以下の企業がそうでしかなくて、むしろ残りの半分以上の企業は、メインバンク関係から自立して、そういう意味では外部者の規律から自由になっ