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で交代が何回あったのかというのを見ている。交代の中で、今言った経営陣の交代がどういう構成で起きているのかを見ているのです。1950年代、60年代は、企業は比較的長期政権なのです。戦後改革では、経営者が大幅に転換します。三等重役と言われたように、非常に若い経営者が就任するわけです。しかし49年から52年ぐらいのドッジライン、朝鮮戦争、あるいはその後の不況というプロセスで、経営者は翻弄されるのですが、そこを生き延びると、その後長期政権になる。それで、1950年代、あるいは60年代、経営者の寿命は非常に長い。ラソーダ監督がドジャースの監督を20何年やったとか、そういうのに似た雰囲気であるわけです。それが1960年代ぐらいまで続くのですが、1970年代になりますと、ある種のシニアリティルールができあがってきます。つまり、2期4年とか、3期6年という慣行ができあがってくるわけです。そこで経営者の交代の頻度が70年代になると高まって、その後さらに高まっていくという傾向があるのです。

その内訳、インサイダーとアウトサイダー、それからスタンダード・ターンオーバー、ノン・スタンダート・ターンオーバーというのは、ここに書かれているとおりです。実際にそれをリグレッションした結果はどうかということで、細かい表が次のところに出ていると思いますけれども、興味があったらお時間のあるときに眺めてください。結論は、ここに要約しているとおりです。

一つ目は内部者による交代です。考えられるのは、もしかすると雇用の成長率と関係があるのではないか。つまり、同業他社と同じぐらいの従業員の雇用水準を維持できないと、内部昇進の経営者というのは交代確率が上昇するのではないかと期待されることなのですが、この関係は基本的には見られないのです。僕は、期待としてオイルショックの後は見られるのではないかと思ったのですけれども、その時期も見られない。しかし、非常に注目されるのは、90年になるとこの関係が確認される。それから、もう一つ注目されるのは、内部者による交代が、前任者の勤続年数と相関を持つ、つまりシニアリティルールが出てきたのがいつかという点ですが、50年代、60年代の経営者の交代は、前任者が何年務めたかというのと有意な相関がありません。ところが、70年代になるとはっきり相関が出てきます。ですから、そのあたりでちょっと健全性を失っているところがあって、その健全性を失っている傾向はどんどん強まっています。特に80年代は非常に悪くて、要するに業績がよくても悪くても、2期4年あるいは3期6年で

 

 

 

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