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けば、辞められた社長というのは基本的には会長職につくことです。これが通常ルーティン・ターンオーバー、スタンダード・ターンオーバーと言いますけれども、そういうケースが通常のパターンなわけです。もしそうではなくて、交代した経営者が会長職につけない場合があるとすれば、これは異常なターンオーバーで、何らかの形で区別する必要がある。これはノン・ルーティン・ターンオーバーというわけです。ただ、これをとった場合は、ちょっと計算上やっかいなのは、本当に何らかの事情によって会長職につけないというようなペナルティーを与えられたのか、それとも調べていくときに情報がつかみきれなくて、つまり健康上の問題、病気になられたとか何とかという情報を完全につかみきれなくて、外観的にはノン・ルーティン・ターンオーバーと見えるかを、完全には識別できないことです。そういうように、ちょっとノイズが発生するという意味では精度を欠く変数なんですけれども、これを被説明変数に入れてみようということです。これでいくつか区分けをして、0、1とか、こっちを1、こっちを2とかというふうにやって、それと企業を構成するステークホルダーの利害がどう関係するのかというのを検討しようということです。

細かいところは飛ばしていただいて、次のぺージをお願いします。一応被説明変数のところは簡単に説明しておいたほうがいいと思うのですが、株主の利害というのは、端的に投資収益率で見よう。それから、債権者の利害というのは、利子が支払えなくては困るというのですから、インタレスト・カバレッジ・レシオと言われている営業利益と利子支払いの比、これが1を上回っていれば一応インタレストはカバーできる、1以下になるとカバーできないという、この変数を入れる。従業員の利益というのは、従業員の増加率で代替しよう。それに、ルーティンで代わるとすれば、ある種のシニアリティルールが働いているということですが、前任者の勤続年数、あるいは前任者の年齢を入れてやろう。これらは、直接的なステークホルダーの利害を表しているわけですけれども、さらに、もう少し客観的な効率性指標を見ようというので、売上高営業利益率と自己資本利益率を入れてみました。それで計算を行ったというのが、具体的な作業です。

お手元で表4となっているかと思いますけれども、割合に直感的にわかりやすいもので、経営者の交代の定義と、戦後各時期の頻度というのは見つかりましたでしょうか。表10のあとに、また突然表4がくるのですが、これは104社をピックアップして、総観察値が520─104×5観察年ですから、520が観察値になるわけですが─そこの中

 

 

 

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