は高度経済成長期の出発点の1957年、そしてデータの最後のところは1994年、この間に大きな不況があった期間前後5年間をピックアップします。最初の計測期間は1959年から63年ですから、岩戸景気の後の不況を含んでいる。それから、次の計測期間は65年から69年ですから、証券不況の不況の時期。次の計測期間が74年から78年、ですから石油ショック後の不況。次が84年から88年で、これはあまり長くはないのですけれども、いわゆる円高不況を含む。そして、バブル後の不況をとらえるために、91年から95年。この5年間をピックアップして、この5年間の経営者の交代を100社についてチェックするわけです。観察年5年とって5期選択してありますから、5×5×100ということで、2,500期の経営者の交代をチェックする。この作業を通して各年の経営者の変化を特定して、その経営者の変化を、企業を構成するステークホルダーの利害で回帰してみようということです。
ちょっとテクニカルなことを言いますが、さっきやったものはOLSと言って、連続量を問題にするのですが、こっちは被説明変数のほうが変わったか変わらないかという、難しく言えば離散量で、交代がない場合を0、ある場合は1とか、それからもう少し細かく分けて0、1、2とか、あるいは0、1、2、3というふうに被説明変数をつくって、この0、1、2、3をパフォーマンスを表す変数によって回帰する。この基本的な考え方は、パフォーマンスが悪化したときに経営者の交代確率が上昇するという関係が効率的な関係だと考えて、それが本当にワークしているのかどうか、どこかの時点でワークしなくなっているという事態があるのかを考えようということです。
ところで、経営者の交代というのは、いくつかパターンがあります。一つは、インサイダーによって交代する。つまり、経営者が交代するわけですけれども、その後任者が内部昇進者によって占められる。これは、直接観察しているわけではないのですけれども、恐らく後任者がインサイダーであるという情報は、経営者の選任過程が内部者のイニシアティブによって行われていることを予測させる。それに対して、経営者が外部者によってとって代わられる。ある会社では、経営者が交代するわけですけれども、その次の経営者が銀行、あるいは関連会社から派遣されている、あるいは同業他社から派遣されている、こういうケースがあり得ます。このアウトサイダーによる交代の場合には、経営者の選任に外部の影響が作用していると見られる。もう一つは、日本の企業の経営者の交代で非常に特徴的なのが、病気になられるとかお亡くなりになるということを除