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メインバンク関係が強いところでは、その企業の中でリスクが小さい、あるいは将来収益が高いと、どんどんメインバンク関係から逃げていって、そうでないものは借入に依存するほうに残るという事態が進展したと考えられる。

3番目に注目されるのは、これは独立系企業ですけれども、つまりメインバンク関係にも制約されていなくて、それから関連会社、どこか他の事業体がブロックシュアホルダーというふうになっていない。ここのところは、意外なことに負の相関を持っています。ということは、Qが低いときに社債にいく。こっちはあまり落ちていないのですが、Qが低くても救済オプション付きの負債をを望まないということです。これはどう解釈できるかというと、既にメインバンク関係から離脱して独立的な経営者になった場合は、将来収益が低い、あるいはリスクが高いという事態に直面しても、再びメインバンクの制約を受けるのはいやだと見ることができる。その結果として、Qが低い─あるいは負債比率でも同じことが言えるのですけれども─リスクが高くても借入に依存しないという企業です。これは堀内さんが描いたある種のモラルハザードであるかもしれないのです。つまり、リスクは高い、収益は低いにもかかわらず、社債を発行して投資を行っているということになりますから、ある種のモラルハザードがこれらの企業に起きているかもしれない。ただし、重要な点は、全体で見ますと、LFO企業群の中で独立企業の比率というのは15%か20%ぐらいでありまして、その意味では、堀内さんが考えられていることが一部当てはまる企業はあり得るのですが、全体としては、Qが高ければ社債に、そうでなければ救済オプション付き負債にいくという関係が支配的だったのではないかと考えられます。

もう一度確認しますと、モニタリングの空白が発生したという見方がこれまでの通説的理解であったわけですけれども、実際に負債選択から見ると、高い期待収益あるいは低いリスク、つまり企業が社債を選択して高いリスクあるいは低い期待収益の企業が救済オプション付き負債、簡単に言えば借入ですが、借入を選択するという関係は、80年代後半にもシステマティックに見られる。今日は紹介できませんでしたが、本文の中にありますように、今度はこの負債の選択に、90年代の前半の効率性を回帰してみましても、救済オプションなし負債を選択した企業、つまり社債を選択した企業のほうが、借入を選択した企業に比べて効率性は高くて、これはストックで見ても、それから変化率で見ても、ストックを見れば必ず高いですし、変化率で見ても想定されるより低い、

 

 

 

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