てダミーをつくってあげて、このダミーだけを入れるものと、それからダミーとリスク及び将来収益の交差項ですが、これを加えて、ダミーがその効果を増幅、あるいは緩和する効果があるかどうかというのをテストする。ダミー変数をどうやってつくるかの詳細は論文に書いてありますけれども、基本的な考え方は、要するにメインバンクが企業の負債選択に対して影響を与えるというのを考えますから、それを代表するような変数をとります。やっていることは簡単で、メインバンクが銀行中の持ち株1位で、かつ役員に派遣しているか否かを、LFO企業あるいはFFO企業について全部チェックしまして、もし株式保有の面で銀行の中で一番持っていて、なおかつ役員を派遣していれば1、それ以外は0だというダミー変数を与えて、これの効果を見るという操作を行ったわけです。
時間があったらもう一度立ち返ることはあるかもしれないですけれども、あまり細かいことをお話しすると混乱するかもしれないので、ポイントだけお話します。このダミー変数は、例えば関連会社ですと、親会社から流動性を供給してもらうということが期待できますから、リスクの変数の効果が少し緩和されてくるとか、あるいは独立系企業ですと、比較的Qとかリスクの効果が強まるということがわかることになります。
同じことをLFOについても計算しました。その結果も、お手元にお配りした論文の中に報告されております。基本的には、LFOも全ファイナンシャルオプションを持っている企業と同じような構造を持っていました。直感的にわかりやすいのはこのグラフだと思うのですけれども、ここからLFOも同じことが起きたことがわかります。LFOの企業では、Qで見ますと、これは将来収益の水準を意味しますが、この将来収益と先ほど見た社債の比率が、計算しますと、関連企業の場合ほとんど無相関です。つまり、将来収益が高くても低くても、同じ程度社債に依存する。これは、先ほど言いましたように、関連企業というのは、親会社が流動性を補給してくれるから、救済オプションに対する需要が負債決定の決定要因にはならなかったことを意味します。それに対して注目されるのは、メインバンク関係が強い企業です。この企業は、全体の中で非常にスティープな傾斜を持った計測結果が得られる。これはどういうことを意味するかというと、現在メインバンク関係にある企業というのは、もし将来収益が高いと、どんどん社債に依存する。それで銀行離れする。そして、低いと、依然としてメインバンク関係を残すということを意味するわけです。ですから、そういう意味では1980年代後半は、