益性基準で配当率とか、利益率とか、そういうもので一定の基準をクリアしていないと、有担保社債を発行できない、あるいはさらにもうちょっと高いレベルの基準をクリアしていないと無担保社債は発行できないというものなのですけれども─この基準を一切クリアできずに、借入しか外部負債の調達機関を持たないという企業もある。この企業は図ではここの部分ですけれども、これはだんだん減っていく。論文には書いてありますが、1990年代ぐらいでまだ600社ぐらいはファイナンシャルオプションがまったくない、事実上借入しか選択できないという企業が存在したということです。その間に、無担保転換社債は発行できないけれども、有担保転換社債とワラント債が発行できる企業というのがあった。大体この数というのが、ここは175で、これがいくつだったか、600ぐらいだったと思います。定量的に分析するためには、企業の負債選択がどういうふうに行われたかが焦点になります。そうすると、規制によってあらかじめ負債選択が決まっていると、企業の実際の選択を抽出することはできないですから、ここをそろえなくてはいけない。
私どもが取り上げたのは、1985年から1990年の間一貫して適債基準を満たしている企業です。175社で、時々業績が悪くて落ちたりして、145社の企業があるのですが、145社をFFO、Firm with Full Financial Optionsと名付けて、FFO企業群と呼びます。もう一つは、85年から、90年まで、基本的には有担保社債は発行できるけれども、無担保社債は一貫して発行できない、そうした企業群を選ぶわけです。これをFirms with Limited Financial Options、LFO企業群と分けるわけです。これを母集団として、先ほど言いましたように、期待収益が高い企業が社債にいって、期待収益が低い、リスクが高い企業が借入を選好する、救済オプション付き負債を選好するという関係があるかどうかをチェックしようとしたのが、ここでの基本的な課題ということになります。
お手元の中には、これがどういう産業分布になっているかとか、それから企業の規模がどれくらいになっているかということを整理した表がありますので、もしお時間がありましたらご覧ください。
レジュメのほうに戻っていただいて、5ぺージ目で、テクニカルなことは別として、どういうことをやったかということだけ簡単に説明させていただきます。
これは、あまりなじみのない方にはわかりにくいかもしれませんが、やっているのは簡単なリグレッション、回帰分析です。左辺が被説明変数、説明される側ですが、これ