(3) 最低生活保障制度の実施
1) 概況
最低生活保障制度は、失業保険など社会保険制度でカバーできない特別貧困家庭や生活困窮労働者などの救済のために実施されている。通常、地方政府レベルで、民政局を中心として工会・財政局・労働局・統計局・社会保険公司などをメンバーとする最低保障制度工作指導グループが設立されており、目標設定・管理事務・調査研究などを行っている。また遼寧省では、特に都市部労働者の生活困窮世帯に対する救済活動を、「職員労働者の困難解決事務室(職工解決困難弁公室)」が行っているケースが多い。
2) 遼寧省の実績
丹東市を除く13市で解決困難弁公室などの救済機構が設立され、さらに区・県・企業レベルでも同種の機構の設立が相次いでいる。97年現在、全省で社会保障の対象となる者は14.3万人で、13市の平均最低保障基準額は129.6元(1人/1ヵ月)であった。
3) 「職員労働者の困難解決事務室」
活動内容は、a)生活費の支援、b)優遇政策、c)自立支援、d)社会的互助システムの確立の4つに分類できる。
「瀋陽市解決困難弁公室」を例にとると、a)生活費の支援では、基金から1人当たり120元(月額)を支出している他、重要な祝祭日(旧正月等)には、「送温暖工程(暖かさを届けるプロジェクト)」等と共に、一時金を支出している。b)優遇政策では、「特困証」の提示により、家賃・公共料金や税金の減免、穀物の割引など、多くの優遇措置が受けられるようになっている。c)自立支援では、対象者の自立・創業を促進するため、1)所得税の免除、2)工商管理費の免除、3)都市管理費の免除など税金の減免措置が作られている。d)社会的互助システムでは、ボランティアの「聯系特困制度(特別貧困者との連携制度)」が設立されている。これは市および区・県政府の幹部と特別貧困者の各1名ずつを組にし、2年間就職斡旋・生活相談など個別に支援をする制度であり、現在全市で14,000組存在する。