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正常銀行債務超過銀行
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債務超過銀行(結果)問題取引先(原因)
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1. 債務超過銀行(右上および左下)は資金繰りが続く限り生き延びることができる

2. 債務超過銀行が生き延びる限り、問題取引先(右下)も生き延びることができる

3. この「相互生命維持」は、将来の納税者負担という確実な代償を犠牲に成立している

 

上の例では、預金払い戻しには90億円必要だが、貸出金の市場価値50億円と自己資本10億円では、30億円足りない。政府は預金を全額保護するとしているので、この30億円は税金で払うしかない。

すなわち問題銀行を整理しても、不良債権の製造元である問題企業を整理せず、それ生かし続ける限り、結局は不良債権問題は完全なネバー・ランディングで、いずれさらに大規模な納税者負担で処理せざるを得なくなる。この問題企業とはどういう企業か。その多くは、ゼネコン、不動産などのいわゆる「公共事業関連業界」である。今回の長銀救済によって政府が「守ろう」としているのは、まさにこの「公共事業関連業界」ではないのか?

政府は長銀救済を通じて「何を守ろうとしているのか」、「なぜ守ろうとしているのか」、「そうすることが日本の将来にとってどういう影響を持つのか」こうした問題を政治家が真剣に議論する時期に来ているのではないか。

 

 

 

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