日本財団 図書館


いると思いますから、重点的に資本注入すると同時に、それ以外は整理するということを不可欠な条件として強調する必要があるというのが1点です。

けれども実際には選別というのは非常に難しいという問題があって、財務内容だけで選別するのが本当にいいのか。財務内容というのはバックワードルッキングな話ですから、これまで何をやってきたかということの結果です。ところが生かすべきか生かすべきではないかというのはフォワードルッキングな話ですから、経営の質が本当にいいのかとか、組織がちゃんとしているのかということを判断しなくてはいけないので、今の財務内容とは実は違うレベルの選択をせざるを得ないのです。それを政府がするというのは、ものすごく恣意的になって、それこそ不可能に近いことなのかもしれませんが、どう選別するかという困難さを踏まえてというか、困難さがあるがゆえに、やはり結果として全面的資本注入にしかならなくて、銀行整理にならないという、そのリスクをかなり考える必要があるのではないかということだけをちょっと申し上げたいということです。

F  今の話に関連するのですが、今朝の新聞で、自民党の資本注入の基準が、自己資本比率8を割ったところからスタートしているのですね。8を割ったところにインジェクションするのは、結局、早期是正措置の先送りではないかという感じがするのです。ただ、生かすところに重点的に入れるとすれば、あるいはそこは重要なのかもしれないし、そのお考えをお聞きしたいというのが1点です。

それから2番目は、今日の糸瀬さんのお話を実行するためには、やはり金融監督庁の人材を5倍から10倍ぐらいにしないとだめなのではないかという感じがするのですが、それが2点。

それから、3点目は貸し渋り対策で、もうインジェクションしてもだめで、結局は政府系金融機関を使うしかないのではないかと私は思うのですが、それ以外に何か取り得る手段があるのかどうか、必要なのかどうか、お教えください。

糸瀬  Fさんの第1点とCさんのご意見と重複する部分に関しては、Cさんの話に僕はすごく賛成です。結果的にそうなってしまうのではないかという危慎は強く抱いていて、それでこれから発言の機会があれば僕はあえて極論を言おうと思うのは、生き残れるところだけ救えという発想がそこなのです。それで、何と引き換えかというと、経営者の退陣とか退職金とかではなくて、戦略的プランの提示と引き換えに資本を重点的に

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION