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ることはある。あるのならば、何としても救わないといけない、救済しなければいけないというのが、恐らく政府の、あるいは政府自民党の当初の基本的スタンスだったのだろうと思います。

私どもの立場からいくと、そのために政治が機能したのかどうかというところに関心があるわけなのですが、ここ1カ月ぐらいのいわゆる与野党協議なるものを見ていまして、正直言って、我々55年体制時代に政治記者になって永田町の現場で駆けずりまわってきた者の感覚からすると、あれは政治でも何でもなく、ちょっと頭のいいおぼっちゃまたちが詰めて、これは参議院で自民党が過半数に達していないという現実がありますから、政府自民党の首脳たちにとってみれば仕方のないことなのですけれども。だから、例えば森幹事長にしても、もう打つ手がないので、今や森喜朗ではなくてシンキロウだと言われているぐらいの存在になってしまいましたね。(笑)それから、長銀というのは池田勇人さんがつくった。だから、宮沢さんだとか池田政調会長だとかが必死になる。それから、いろいろな政治絡みの人がくっついています。そういう背景の政治的な問題があるということもすべて承知の上で言うのですが、ここ1カ月、一体日本の政治は機能したのか。恐らくこれでは政治になっていないと思うのです。その辺はいかがお考えですか。

糸瀬  その点は、Eさんとはお互いに初対面で、これからお友達になりたいのですけれども、(笑)私は真っ向から反対ですね。あのままやっていると、本当に何も見えないままずっとこのパターンが続いて、長銀と住信の合併もその後の展望はゼロです。あのままずっと5,000億つぎ込んで住信と合併するとしてもあれが生き残る可能性はほぼゼロに近いと思います。そうやって、あと1兆円必要、あと2兆円必要といって、結局つぶれる可能性があるわけです。国民は既に公的資金を投入すること自体についてはほとんどあきらめているのですね。使わなければいけないと。しかし、なぜか、いくらかを知りたがっている。それに答えていかないといけないと思うわけです。それで、民主党その他の野党のアプローチというのは、今回は私個人にすごく評価していて、それは結果的にこういう形で長銀が片づいているということは、本当にこれは歴史的なブレークスルーだと思います。ずっと先送り、先送りでやってきたことを初めて問題を個別のケースで直視して、それについて新しい処理をしようという合意ができているという意味では、個人的にやはりすごく評価しているのです。

 

 

 

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