投資信託もノンバンクも非常に暗いイメージで考えられていて、忌避されるというようなところがあるわけです。それは、まさに金融がゆがんでいるということの表れだと思うのです。日本のノンバンクがゆがんだ大きな理由は、前にも申し上げましたけれども、要するに資金調達が銀行借入しか認められていない、資本市場からの資金調達が認められていないという構造に大きな原因があるわけで、それを一応取り払って資本市場からの資金調達の道を認めるのがノンバンク社債法なんですけれども、これが前の国会でも継続審議になって、今年の国会でも多分継続審議がどうかわかりませんが、大体通るという雰囲気がない状態にありますから、スクラップもおじおじしていて、なかなかスクラップの覚悟がつかないという批判も当たっていると思いますし、ビルドの努力が全然されていないという批判もやはり当たっていると思います。
D 逆にビルドをちゃんとすれば、スクラップしやすいということもあるのでしょうか。
司会者 そうですね。ノンバンク社債法というのは重要なブレークスルーだと私は思うのですけれども、信託については、例えばトヨタとか、それこそソニーが入ってくるわけですね、時期的には。そういうのは一つの非常に大きな取っかかりになるというふうに考えられますか。
C ただ、あれは金融サービス法ではないですから、投資信託はやはり投資家が薄められた形とはいえリスクをとるわけです。そのリスクをとるということの裏側には、権限だとか、それなりの公正さの確保とかの制度的基盤の支えがないとだめなわけで、金融サービス法なきビッグバンはやはりだめですよ。再びきっと消費者被害を引き起こすだけの展開になりかねない。
司会者 大変重要なご指摘だと思います。Eさん、どうぞ。
E 政治記者なものですから、金融の現場からのお話で、非常に興味深く拝聴させていただきました。20何年政治記者をやってきた立場から言うと、今度の長銀救済金融再生問題というのは、すぐれて政治問題であろうと思うのです。それで、長銀救済をなぜ政府がしなくてはいけないのかというのは、これは小渕政権にとっての、言ってみれば国際公約であって、最大の政治課題だと思うのです。それで、糸瀬さんのレジュメの中にも、「長銀の破綻により経済システム全体のリスクが波及する可能性は小さい」とありますが、可能性が小さいということは、可能性があるということで、小さくてもあ