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年にパニックが起きればよかったと思うのです。でも、日本のシステムというのは、何か平々凡々にパニックが起きなくて、問題が見えなければいいんだという小役人根性に凝り固まっているのです。私は小役人だからそう思うのですけど、(笑)問題は小役人だけではなくて、政治家も学者もみんなそう思っています。

司会者  いや、でも一番思っているのは財界ですよ、きっと。

B  財界もそうです。

司会者  長銀をつぶすということに今でも徹底的に抵抗しているのは財界だと思います。

B  だから、リーダーたる人たちが、まさに小役人根性に心が支配されているのですね。小役人根性を捨てることがリーダーの条件なのに、何で……。小役人根性に心が支配されている限り、日本はだめだと思います。

司会者  Dさん、ちょっとお待たせしてすみません。どうぞ。

D  借り手をどうやって助けるかという話、ポイントになる企業をどうするかという話で、これはちょっと私が不勉強なのかもしれませんが、あまり聞こえてこない議論が、直接金融の道をもっと開くために今何をしたらいいかという議論だと思うのです。社債の発行にしても、あるいは店頭市場にしても、直接金融のルートを強くするために撤廃する規制とか、やれることはたくさんあるのに、恐らく間接金融の道から直接金融に移るということはもうこれは必須ですから、むしろ同時にこちらの議論をもっともっと今すべきときではないだろうかと思うのです。不勉強かもしれませんけれども、それが大きく議論されているという感じがどうもないのですが、そこはどう思われますか。

司会者  今のご意見は、実はこのシリーズの何回かのときにC先生がご指摘してくださった問題でもあって、実は直接金融だけではなくて、相対型の間接金融から市場型の間接金融へという……。白書などでもオルタナティブな金融ルートが必要だと指摘されていると思うのですけれども、糸瀬さんご自身は、今のご意見も含めてですけれども、そのオルタナティブな金融ルートをどんなふうにつくっていくのかということです。

糸瀬  この間、ニュースステーションでC先生がそれをすごく指摘しておられました。経済白書のグラフを使いながら、日本は200兆円貸し過ぎているお金があって、その行き場がやはり証券市場しかないわけというので、ただ最近はちょっと追いかけていないのですけれども、僕の認識では枠組みはもうほとんどできあがっていると思うのです、規制緩和という意味では。それで……。

 

 

 

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