株式を今こそ取り上げて、外国から、アメリカから日本の銀行はそういった株式を持ち過ぎていると。そういう体質を、長期的な体質改善をやりながら、短期的には株式市場はこれで恐らくダウは3,000円か5,000円上がってしまうのです。ダウが5,000円上がってしまえば、銀行の含み損というのはほとんど消えてしまって、含み益に転ずる。そういうプラスになるような、一石二鳥、三鳥になるような公的資金の使い方をやらないと、いつまでも袋小路の論議でどっちが勝った、どっちが負けた、そんなことをやっている。今こそパブリック・マネーを使ってお金の失業対策をやるべきだと私は思うのです。それをやれば、金の失業対策、そして国債を発行するということは、国債だって利子を払いますから、1%、1.5%、それだけ消費できるお金が年金生活者、預金生活者に増えるということになります。これは消費にとってプラスになります。景気浮揚効果もある。株価が上がれば含み益に転ずる。そして、長期的には体質改善にもなる。私はそのような対策をとるべきではないかと思います。
ごく簡単で荒っぽい言い方ですけれども、そういう考え方について糸瀬先生はどういう考えをお持ちですか。この日本の経済を救っていくためには、景気を浮揚すれば、この貸し渋りも、それから中小企業の経営者も、個人の持っている担保掛け目というのは上がっていくのです。つまり、腎臓だとか、肝臓だとか、胃の話ばかりではなくて、経済の、心臓部そのものを生き生きと動かすことをしないと、ここ2年間は心臓が冷えきっていますよ。景気対策を6回発動して、6回全部空振りでしょう。6打席連続三振、株式市場はびくとも動かない。この株式市場という心臓を動かすことを考えないと、私はお金を使っても使っても、みんなむだな税金の投入につながっていくという危機感を持っています。
司会者 もし、とるべき経済対策について何かコメントがありましたら。後から議論していただいても結構ですけれども。
糸瀬 問題意識は僕と全く一緒なのですけれども、どうするかというところが……。ただ株式市場のことはよくわかりますけれども、今何が始まったかというと、今まで6回の景気対策でだめだったという、92年8月から、特に公共投資ということで、日本経済の牽引役となる産業について、それ以前とずっと同じ産業界、同じ業種が日本経済の景気を支えてくれるという発想でずっと来たわけです。しかし、結果として景気がよくならなかった。しかも借金だけ増えたというのは、そういった公共投資関連業界は景