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ていますから。そういうところに貸していた銀行を国民の金でなぜ救済しなければならないのか。私は、長銀というのは救済するのではなくて、終わらせるべきである、遅くなったけれども、とにかく今終わらせるべき銀行だと思うのです。大手19行の中で減らす銀行として今どれか一つを選ぶとすれば、長銀です。国民経済に一番インパクトが少ない。今こそお葬式を出すべきときであって、結婚式へ行かせるべきものではないのです。(笑)だから、出すお金があるとすれば、支度金、持参金ではなくて、香典だと思うのです。(笑)香典なら、公的資金は少しは、それは政治の決断が遅過ぎたという意味で出さなければならないと思います。しかし、支度金、持参金というのは、人が出すのではなくて、これは自分がちゃんと用意するものだと思います。そういう不良経営共済システムみたいな仕組みをつくってしまうと、善良な借り手の保護どころか、善意でかわいそうな納税者を増やすだけである。(笑)こういうことは私は反対いたします。

それから、公的資金という言葉を英語に訳せば、これはタックス・マネーだというのが一般的な解釈ですけれども、一歩譲ってこれはパブリック・マネーであるという考え方をするのであれば、今、日本の経済の実際から見た場合に、人は失業している。失業率最高。それから会社も失業している。会社の失業を倒産と言います。これも最高。もう一つ失業しているのは、日本のお金です。お金が失業しているのです。タンスの中で、銀行の金庫の中で。人も会社もお金も失業させる、こんなお粗末な国がどこにあるか。私は、今こそお金の失業対策をやるべきだ、人の失業対策というのは、戦後やりました。道路を掘っては埋めて、掘っては埋めて。しかし、あれをやったから社会不安、暴動につながらないで、日本の復興はできたのです。だから、今こそお金の失業対策事業をやるべきだと思うのです。お金の失業対策というのは、100兆円の国債を発行して、眠っているお金を動員して、そのお金で銀行が持っている不良債権ではなく、不良ではなくて優良、債権ではなくて資産、つまり優良資産の移転をさせるべきではないか。国民の公的資金で銀行の45兆円の株式を全部買い上げる。この8%のBIS規制、4%のBIS規制というのはグローバルな物差しですけれども、グローバルな物差しは結構。しかし、日本の銀行というのは体系が違うのです。日本の銀行の体系というのは、アメリカ、ヨーロッパのように、株式を持っていない、そういう体質の銀行に当てはめる8%、4%。日本の銀行は、お腹がちょっと出っ張っているのです。お腹の出っ張りを取って、スリムな体型にして8%、4%を当てはめるべきだ。お腹の出っ張りを取るというのは、

 

 

 

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