つまり、救われるべき借り手というのは善意かつ健全な借り手でなければいけないという争点でない部分があまりにもあからさまに原則と矛盾する形で出てきてしまったので、ここが最大の問題として国民の理解が全く得られなかったのではないかと思います。もっと言うと、日本リースだけで農林系金融機関が3,400億円貸していますし、それから日本リースからの借り手にどういったところがあるかというと、いわゆるゼネコン不動産が中心で、それも筋の悪いところが非常に多くて、結局それらに対する債権を放棄してしまうというのが非常に大きい問題であったと思うのです。ですから、逆に最初にこれらの借り手について救わないということをもし自民党案が打ち出していれば、あるいは長銀の方で、それらについては債権放棄をせずに、RTCみたいな機関をつくって回収するということを打ち出していれば、ここまで話がもつれなかったと思います。この点がスタートの時点で国民が非常に強く反対している部分だったのではないかと思います。
もう一つ、5ぺージのデリバティブの話をしておかなければいけないのですけれども、私が外資系に延べ13年いて、最近『アングロサクソンになれる人が成功する』という本を書いて、外資系はいいよとか、アングロサクソンのやり方というのは正しいよというのを声高に言っていますが、あれは意図的に光の部分を強調した本で、影の部分が実はありまして、それがデリバティブなのです。デリバティブは本当に麻薬みたいなところがあって、これを使えばかなりきわどいことができます、それで、ヤクルトが数カ月前に1,100億円、それから日商岩井がつい数日前に1,800億円の特損を計上しました。それから今日の新聞に、青山商事がロシア債で数十億円の損失を出して、せっかくのスーツの売上の大半が吹っ飛んだという話が出ていましたが、ヤクルトにしても、日商岩井にしても、青山商事にしても、証券業界ではこうした問題の存在はずっと前からわかっていたことなのです。そういった会社があと10から20ぐらいあります。いわゆる財テクカンパニーはずっと悪いポジションを抱えたままで、その後レスキューボンドと言われるタコ足配当をするボンドを買ったりしています。これは、要するに通常の債券というのは、100億円で買って利息が5%だったら、100億円に対して5億円が毎年毎年支払われ、5年なり10年後に100億円返すというのが普通の債券なのですが、レスキューボンドは100億円投資するのですけれども、初年度に20%の利息が来て、それで次年度以降それが1%に下がるとか、あるいはもっと極端なのは、初年度に40%の利息が