生まれることとか、それからかつてのコスモ信金のときを思い出していただくとわかるのですけれども、マンモスという非常に預金金利の高い定期預金をやって、お金を非常にたくさん集めていた時期がありましたが、あのときも、預金する側は万が一倒産しても多分全額保護してくれるだろうという安心感があって、こうした高金利預金にお金が流れていたわけです。こうしたモラルハザードを実際にアメリカは経験して、トゥー・ビッグ・トゥー・フェールという考え方を否定しています。特に債権者、コンチネンタル・イリノイの場合で言うと、持ち株会社に対する債権者まで保護したことは、金融システムの安定化とは何の関係もなかったのではないかというのが、議会で厳しく反省されています。ですから、預金者の混乱の部分というのは、トゥー・ビッグ・トゥー・フェールという原則で、日本で議論するにはやはり非常に無理があるのではないかと思います。
次に4ページに移って、銀行の取引先への影響、これが日本にとってちょっと独特の議論と申し上げましたが、翻って長銀の話に至る前の破綻後救済、自民党のブリッジバンク法案ですとか、民主党の国有化の法案のときに、共通点として、2段階の選別のプロセスがありました。最初の選別というのは、銀行が破綻した場合に、必ずしも全部の銀行をブリッジバンクに引き継ぐとか、あるいは国有化するといったことではなくて、自民党案も野党案も、その段階でまず第1段階の選別があって、特定の地域とか分野に重大な影響を及ぼすような銀行については救済する、イメージ的には、例えば今の段階で北海道拓殖が破綻に至ったとすれば、これは恐らく特定の地域に重大な影響があるということで、ブリッジバンクに引き継がれたり、国有化という話になるのではないかと思います。そこでまず第1段階の選別があるわけです。それから第2段階の選別ですけれども、借り手についても全額すべての借り手を保護するということではなくて、これも自民党案も民主党案も共通で、善意かつ健全な借り手、善意というのは実はどうでもいい話ですけれども、善意かつ健全な借り手については融資を肩代わりするといったことで、第2段階の選別があったわけです。それで長銀の場合を振り返ると、借り手の選別のところで大きな問題が生じたわけです。結局破綻前に5千数百億円、その後7,500億円、あるいは1兆円という数字も出ていましたけれども、それを資本投入してどこが救われるかというのを見ると、これはあまりにもあからさまにわかり過ぎたのです。それらは日本リースであり、日本ランディックであり、NEDといった関連企業だったわけです。そうすると破綻後処理において既に与野党間で争点ではなくなっている部分、