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話です。実は日本の金融機関もかなり出資しています。それで金額が、これは本当にブラックボックスでわからないのですけれども、イメージ的に言うと、そこに出資されているお金というのはすべてバリューアットリスクに匹敵する部分なのです。ですから、そこの20倍から30倍のお金が動いていていいという解釈なのですけれども、ニューヨークタイムズの記事で、取引契約残高で1兆2,500億ドルあるのではないかというのが出ていましたが、これは日本円勘定で170兆円です。170兆円のデリバティブとか現物債、特にトレジャリー(米国債)とモーゲージが中心なのですけれども、こういったところが破綻すると、それは多分東京三菱銀行の破綻に匹敵するぐらいの規模ではないかと思うのです。これは、もちろん民間の銀行ではないので、当然公的資金というのはもともと想定していませんが、既に10数行が35億ドルの緊急融資を決めたのです。これで問題が解決するかどうかというと、今、損失が400億ドルとも、800億ドルとも言われていますが、この損失はあくまで今の評価損なのです、ヘッジファンドというのは毎日マーク・トゥ・マーケットで損益を計算していますから、現時点のロス、もしクローズするとすればこれだけのロスがあるという数字で、それはまだ評価損にすぎなくて、これをポジションを閉じることによって実現損にしていかなければならないのです。これから損失をこれ以上膨らませないようにしながら、管理メンバーが一応金融機関で管理委員会をつくったのですけれども、そこで損失確定のためのアンワインディングをこれからやっていかなければいけません。このやり方によっては本当に市場が大混乱して、極端な話、ニューヨーク株が大暴落する可能性も秘めているぐらいの非常に大きい爆弾を今アメリカは抱えています。

ちょっと話がそれましたが、長銀の話に戻ると、長銀については、これは本当にマネージャブルなリスク、市場が乱高下するといってもLTCMなどと比べると非常に軽微、これがレジュメの1]のところなのですけれども、レジュメの2]、これが非常に悩ましいところで、これはゴールドマンの友人と話していて、一つは何が心配かというと、長銀自体はもう覚悟しているからいいし、それでスワップマーケットもいったんは非常に乱高下するだろうけれども、それでも大したロスではなくて、一応アンワインドできる。ところが、そのプロセスがやはりすごく煩雑なのですね。カウンターパーティーを新たに見つけなければいけないし、そのプロセスを経験することがどういった学習効果をもたらすかというと、ではもう危ないところはやめてしまおうというのが彼らの発想なの

 

 

 

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