ちよっと余談ですけれども、私は92年から96年の10月までドイチェバンクの証券の方に、今のドイチェセキリュティーズにおりました。その前はソロモンに9年いたのですが、ドイチェバンクに移って非常に印象的だったのは、スワップの申し込みが非常に多かったことです。事業法人ですとか、それから金融機関からスワップのカウンターパーティーになってくれという依頼が非常に多かったのです。なぜかというと、トリプルAという格付け、今は下がりましたけれども、当時のトリプルAの格付けはドイチェとUBSとJPぐらいしかなかったのです。それでそれまでどことやっていたかというと、長銀とやっていたとか、北海道拓殖とやっていたとかといったお客さんが、そういった銀行のクレジットが取れなくなったので、残存期間についてやってくれという問い合わせが本当に非常に多く来ていました。それは何を意味するかというと、既に金融機関間では、今、信用不安をささやかれているような銀行については、信用リスクを当時から本当にミニマイズしていて、それでもっと極論すると、いつ破綻してもいいという前提でのデリバティブ取引になっています。そういった意味では、長銀のデリバティブ残高が50兆円というのは、かなり減って減って減り続けて今50兆円しかないという状況で、少なくとも大手の金融機関については、その分のリスクというのは現金とか国債の担保で完全にカバーしきれています。それと、ゴールドマンの友人にしても、ソロモンの友人にしても、モルガンの友人にしても、長銀が破綻しても、それによってリスクをこうむることはないといって話をしていました。
余談ついでに、今、個人的にすごく心配しているのが、ロングタームキャピタルマネジメント(LTCM)というヘッジファンドの話です。既に新聞で報道されていますけれども、一昨日だったかニューヨーク株が暴落したときのきっかけが、このヘッジファンドが40億ドルを超える損失を抱えていると、いう報道がされたことでした。情報がかなり錯綜しているのですが、ちなみにこのヘッジファンドは、ソロモンブラザースのかつての副会長だったジョー・メリウェザーが国債の不正入札のスキャンダルで引責辞任し、その際、当時のソロモンのマネーメーキングマシンと言われる部門だったところのロケットサイエンティストを数名連れて、マイロン・ショールズ、オプションのブラックショールズモデルの一方の生みの親ですけれども、彼などを入れて、それから連銀のマリンズなども迎え入れて、それで最高の頭脳をそろえたヘッジファンドということでやっていたのですが、新聞では、海外、特にヨーロッパの金融機関が非常に多く出資しているという