いましたが、では官庁エコノミストは一体何をやっていたのかということを、官庁エコノミストのエリートである原田さんに、率直なところをお聞きしたいというのがひとつ。
もうひとつは、自民党総裁選がきょう届け出で、24日に投票ですけれども、内外の市場がこれほど注目している自民党総裁選というのは、恐らく初めてではないかという気がしています。小渕さんになったら、為替も株も、円安、株安に振れるだろう。円は150円、株は1万5千円で、梶山さんになったら逆に振れるのではなかろうかという感じを持っているのですが、削るなら削っていいですから、この辺の感触が当たっているかどうか、ひとつ教えていただきたいと思います。
原田 では削っていただきたいのですが(笑)、私は先生と言われるような人間ではなくて、官庁エコノミストのエリートでも全然なくて、90年代初頭以降、ずっと「マネーを増やせ」と言っていたときには、だれも賛同してくれる人がなく、ただ、クルーグマンが「マネーを増やせ」と書くと、大きな話題になったりして、「やっぱり、クルーグマンはいいなあ」と思った次第です。
昔の官庁エコノミストは、経済学者もそうですが、財政赤字は問題ではないというのが主流だったのですが、今は、財政赤字は問題だというのがはやりで、だからはやりのことを言っておいた方がいいんじゃないかということではないかと思います。
恐らく、政治家も財政赤字は困ると思うのです。それは大蔵省に言われたからそうしているのではなくて、ご自分の政治的な本能で感じ取っておられるんじゃないかと思います。何でそうかというと、田中角栄元総理は何を言っておられたかというと、「新幹線を作って、高速道路を作れば、工場が建って、工場が建てば、お父ちゃんが出稼ぎにいかなくて済んで、お母ちゃんが寂しい思いをしなくて済むんですよ」ということです。田中角栄さんはそうおっしゃっていた。いまの公共事業というのは、何かをやっても別に工場はこないわけです。バッハホールを建てたって、バッハなんか来ないです(笑)。ですから、公共事業がきっかけになって、それが永続的な地域の繁栄をもたらすという状況ではなくて、永久に公共事業をしないとその地方はもたないという状況になっているわけです。もし公共事業をやったら工場がきて、そこに仕事があるのだったら、財政赤字でいいわけです。なぜなら、国債で道路を作って工場がくるなら、その工場から税金がくるわけですから、それで国債を返せるわけです。これは非常に自立的な、かつ永続的な過程ですが、それができないから、税金をとって公共事業をやるしかないと認識