は12億で、東欧やロシアには、また2〜3億の人口があるわけです。東欧の一人当たりGDPはASEANぐらいで、中国はASEANより低い。中国の専門家の方の話を聞くと、過剰な労働者が1億人だというのです。ということは、その1億の人たちが仕事を得るまで、アジアの未熟練労働の賃金は上昇しないということです。そういうディープ・インパクトが、1980年代の終わりには明らかになっていた。ですから、アジアの実質賃金は上がらない。であるにもかかわらず、短期資本を取り入れて、浮かれていた。バブルをやっていたわけです。タイのような暑い国で、アルマーニのダブルの背広なんかを着て、BMWに乗って喜んでいたのです。私は別に批判しているのではありません。日本だってやっていたわけですから、単に日本の愚かさを繰り返しただけですが、そんなのは無理なのです。ですから、賃金は上がらないから、我慢しよう。あるいは、中国には絶対できないことをやるしかないということですが、そのどちらもしなかったということだと思います。
そういう構造的な問題に対処せずに、短期資本を取り入れて、束の間のバブルを楽しんでいたアジアと、そのアジアに対する投資家が、後智恵ですが、愚かだったということに尽きると思います。
日本経済の2つの問題
日本経済には、構造問題と金融危機と2つあります。構造問題とは何かというと、これは日本とドイツの、アメリカに対する内外価格差を書いたものを見てください(巻末資料参照)。ここで影をつけてあるのが日本で、太い線で書いてあるのがドイツです。100がアメリカのレベルで、縦はアメリカを100とした価格です。横幅は支出のウェイトです。食品ならこのぐらいというようなウェイトがわかる。よく、円安になったので、内外価格差なんかはあまり大きな問題ではないという方がいらっしゃいます。それはたしかにそうなんです。円安になって内外価格差がみえなくなっているのですね。しかし、財ごとの相対的な価格が、アメリカと日本は大きく異なっているということは、そのまま残っているわけです。ドイツと日本を比べてみますと、ドイツはアメリカとあまり変わらない。せいぜい通信ぐらいです。ドイツの通信というのは非常に高いですけれども、それ以外のものはそこそこで、内外価格差もせいぜい140ぐらいまでしかない。ですから、ドイツはアメリカと比べでいろいろな財の相対価格は余り変わらないということがわかるわけです。