なぜ危機になったのかというと、アジアのエコノミストの説によると、高齢のスハルト大統領の後を心配して、まず資本逃避が始まった。インドネシアの場合には、自分の国の人間が最初に資本逃避をして、それに気がついた投機家がアタックして通貨が下がったと言うのです。
そうやって下がったところで、エルニーニョで米がとれなかった。米がとれないから輸入しないといけない。そうすると、通貨ががんがんに下がっているわけですから、米の値段を何倍にもしないといけない。そこで、米価を下げるために補償金を払おうとすると、IMFが払ってはいけないと言うのです。そうなると、要するに、日本の大正時代みたいなもので、米騒動が起きてしまった。社会不安が起きて、どうしようもなくなってしまったということで、腐敗と危機とは全然関係ないというわけです。
むしろ、IMFの護送船団行政が危機をもたらしたという見方もできると思うのです。危機になると流動性を供給する。それで借りていた人に返してしまうわけです。ですから、無謀な投機をしていた自国の人たちも、それに貸していた国際銀行家も、それで救われてしまうという面があるわけで、これはモラルハザードだと思うのです。IMFが世界的に通貨の護送船団行政をやっていて、繰り返し救っているわけですから、それをみて「まあ、やっても大丈夫だろう。いざとなったらIMFが面倒みてくれる」ということで、危機が繰り返されるのです。ですから、IMFの護送船団行政が通貨危機を生んだという面があります。これについても、日本のマスコミは、日本の役人はたたくのに、何でIMFをたたかないのか。不公平ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
中国のディープ・インパクト
中国元が切り下げするのではないかという問題があります。円が下がると元が下がるという議論がありますが、これは、私は関係ないと思うのです。日本と中国の輸出品は競合していないからです。そもそも、1994年の元の切り下げがアジア通貨下落の原因ではないのかという議論もあるわけですが、これについてはすぐに反論があると、私も予想しています。また、そのような単なる切り下げではなくて、人口12億の中国が、1980年代に資本主義の世界市場に進出してきたというすごいディープ・インパクトがあると思います。さらに1990年代には、ロシア・東欧が登場してきたわけです。中国の人口