たものですから、わたしなりに乱暴にまとめますけれども、まずIMFとは何をなすべき組織なのかという議論があります。考えてみると、アジアの固定為替レートがいけなかったというのは多くのエコノミストの診断ですが、そもそも固定為替レートにするというのがIMFの目的なのです。かつ、アジアの場合にも、ワシントン・コンセンサスというものがあって、固定為替レートを推奨してきたわけです。為替レートを固定すると、資本が流入する。資本が流入すると投資が増えて、投資が増えれば成長率が上がるという、ワシントン・コンセンサスというのを言っていたわけです。考えてみると、自分で失敗した政策を売り込んで、失敗したからまた権限が増えるという状況にIMFがなっているわけです。
これを日本の役所がやると、日本のマスコミは「やけぶとりでけしからん」とたたくのです。それなのに、何でIMFをたたかないのか不思議です。なぜ外人コンプレックスを持つのですか。IMFも日本の役所と同じようにたたけばいいじゃないかと思うのです。
2番目には、流動性危機か信用危機かという議論があります。流動の危機だったら、いくらでも貸しておけば返ってくるのだから問題ない。だからIMFは漸進的にやればいいということになる。ところが、流動危機ではなくて、信用危機だったら問題です。信用危機のときに追い貸ししても、返ってこないわけです。ですから、流動性危機か信用危機かという点を議論しなければいけない。
私が、サックスは偉いと思うのは、少なくとも韓国は流動性危機だといって、自分のではないですが、そういう論文を取り上げています。私は読んでもよくわからなかったし、あまり説得力がないようには思うのですが、ともかく、問題点をきちっと整理して、ちゃんと「こうなんだ」と言おうとしているわけです。韓国は流動性危機なんだと言って、自分の主張のために証拠を集めている。
もうひとつは、IMF救済をもたらすモラルハザードの問題です。IMFはアジアが腐敗しているからいけないと言っているわけですけれども、腐敗が危機をもたらしたのかというと、そうではないと思うのです。アジアの人たちはみんな、「インドネシアは30年前から腐敗していた。腐敗していながら、30年間発展してきた。今、なんでそれで危機になるんだ。危機になるのだったら、30年前に危機になっているはずだ」と言っています。