ウォンが下がる。ドルで借りていた債務のウォン建ての金額が膨らんで、かえって悪くなってしまう。つまり、単純なことなのですが、自国通貨は印刷できますけれども、ドルは印刷できないという状況に、韓国はなっていたわけです。しかし、それに気がつかなかったというのが、韓国の大失敗です。
考えてみると、こんなのは当たり前で、常識だと思うのです。韓国の中央銀行や経済官庁には、いっぱいアメリカ帰りのPh.D.がいて、あの人たちは一体何をしていたのだろうかと思ってしまいますけれども、自分のことを考えると反省するばかりです(笑)。私はPh.D.ではないですけれども。
自国通貨は印刷できるけれども、ドルは印刷できないとか、ドルで買って、ウォンしか稼げないものに投資をしていたら危ないとか、これはほとんど常識です。勉強なんかしなくても、それくらいのことはだれだってわかるはずなのです。たとえば、韓国のD-RAMを作る企業は、そのためにニコンからステッパーを買って、シリコンウエハーを輸入してD-RAMを作って、外貨を稼ぐ。ドルで輸入したものとドルで稼いだものとの関係が明らかですから、それに応じた通貨での借入をしていればいいわけです。韓国の労働者にはウォンで賃金を払うわけですから、それに応じた借入をしていれば、何の問題もない。ただ、D-RAMの場合には、その値段自体か下がってしまいましたから、通貨のマネージメントをちゃんとやっていてもだめだったと思いますが、ところが、そういう常識が通用しない状況になって、ばんばんと借り入れて、無謀な投資をやっていた。今になれば、政府が助けてくれるだろうと思って、いい加減にやっていたんだと思いますけれども、政府は助けてくれなかったし、そもそも助ける能力を失っていたわけです。
ある、イギリスの証券会社のアナリストと話したときに、イギリスでは「あなたの父母の教えこそがいちばん正しいものであって、新奇な思想はすべて間違っている。これがサッチャー時代にイギリス人がいちばん学んだことなんだ」とそのアナリストは言ったのです。つまり、常識に戻ればいい。それは、「あなたの父母の教えに戻る」ことだったわけです。ですから、私は専門家というものを、あまり信用しないのです。
ちょっとそれた話をさせていただくと、あるパーティーで、ある大学の先生が、中央銀行はマネーを増やすことはできないということを盛んに言うのです。その理屈は何かといいますと、日本銀行の言っていることをおうむ返しにしているのです。しかし、中