になっていて、高い為替のもとで経常収支の赤字が拡大していった。ところが、経常収支の赤字の拡大を埋めるだけの資本の流入があった。その資本が、将来のために外貨を稼いでくれるような、ちゃんとした投資に向かっていれば何の問題もなかったのですが、不動産投資などに回されて、将来のリターンがないのではないかというような状況になった。こうなると、投資家たちは不安心理に駆られて、先に逃げた方が得ではないかという気分になった。そのとき、借入は特に短期の資本に頼っていたわけですから、一気に逃げたので、通貨が一気に下がった。そうしますと、アジアの国は大体ドル建てで借りているわけですが、それが自国通貨建てで膨らみます。そうすると、ますます企業が危なくなってしまう。そんな危ない企業に金は貸せない、貸していたら、一刻も早く引き上げようとする。みんながそうしますので、一気に通貨がどんと落ちてしまったのです。
この基本的なストーリーのうち、どこを強調するかは人によって違うかもしれませんけれども、大体だれも同じようなことを言っていると思います。
ここから、防止策が出てきます。「短資を規制すべきだという考え方」と「モラルハザードを強調する考え方」があります。事後的にみれば、短期資本がいっぱい入ってきて、一挙に流出しています。これはグラフを作れば、明らかで、GDPの10%にも及ぶような資本のスイングがありました。たとえば日本でも50兆の短期資本が入ってきて、一挙に50兆抜けたら、やはりおかしくなる。そのように大きなスイングがあれば、どんな国だって混乱は免れない。それで、短資を出すなという規制をするのは困難だから、そもそもこないようにすればいい、短資の流入を規制すればよいという短資規制論になります。
ただ、私は、これは表面的な議論だと思います。何かがあったときには、なぜそうなったのかをまず議論すべきであって、要因の分析なしで、表面的なことだけをみて規制するというのは、日本の規制の多くが有効でないように、やはり有効でないのではないかと思います。
あるタイのエコノミストにインタビューしたとき、「アジア通貨が下落したのは、ビューティー・クィーン・シンドロームだ」と言っています。ビューティー・クィーン・シンドロームというのは、タイでビューティー・クィーンになった人で、幸せになった女性は少ないというのです。なぜかというと、男たちがよってきてちやほやするのだけ