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・燃焼ガス温度 1300℃

・試験片表面温度 900℃(INCO713LCについては750℃も調査)

・燃料 灯油

・雰囲気 A重油模擬及び海上雰囲気模擬

・試験時間 100時間

3)試験結果及び考察

各供試材の腐食深さ及び外観状況を評価した。図3.2-2に試験片の外観を示す。図3.2-3に防食性能試験結果を示す。試験片表面温度を900℃に設定し、100 時間試験した場合の各供試材の侵食深さを比較している。図3.2-3及び外観状況から評価すると、IN738L、IN792Hf、CMSX-11及びFSX-414はほぼ同等の耐食性を示し、Rene80Hはそれらよりも良好な耐食性を示した。またINCO713LC は試験片表面温度900 ℃ではIN738LC 等よりも耐食性が劣る結果となったが、750 ℃においてはほとんど減肉は見られず、優れた耐食性を示した。

4)まとめ

ガスジェネレータタービン及びパワータービンの動翼、静翼材料を対象に燃焼ガス温度1300℃の条件のもとで高温腐食試験を100 時間行い、次の結果を得た。

1]試験片表面温度900℃において、腐食深さ及び外観状況から評価すると、IN738LC、IN792Hf、CMSX-11、FSX-414はほぼ同等の耐食性を示し、Rene80Hはそれらよりも良好な耐食性を示した。またINCO713LCはこの試験片表面温度ではIN738LC等より耐食性が劣った。今後、防食コーティングを施した場合の防食性能の評価を実施する予定である。

2]INCO713LCは試験片表面温度750℃において、ほとんど減肉は見られず良好な耐食性を示した。

b)塩水噴霧試験

1)概要

スーパーマリンガスタービンは海上で使用されることからデミスター使用を想定しているが、デミスターの故障等により、低温で使用される金属部材に塩水粒子が付着する可能性も考えられる。一般にはステンレス鋼やアルミニウム、チタンなどのように、不働態化し表面の保護性酸化皮膜により耐食性が保たれている金属が、環境中に含まれているハロゲンイオンなどにより、保護皮膜が局所的に破壊されて孔食等の腐食を生ずることがある。この試験では、デミスターの故障等の状況を想定して、候補材料の塩水付着環境における耐食性を調査することとした。

平成10年度は、比較的低温で使用される圧縮機用材料について海塩粒子付着環境での耐食性を評価するため、塩水噴霧試験(90日)を実施した。

2)試験方法

2.1)供試材

供試材は、圧縮機動・静翼及びディスク材等の候補材料(表3.2-2)を用いた。

 

 

 

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