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b)タービン冷却性能試験装置の製作

1)目的

SMGTの目標性能を達成するためには、従来機種のレベル以上に冷却空気を低減し、同時に部品の寿命を満足する高度な冷却翼設計が必要となるが、そのためにはタービンの動静翼表面の熱伝達率分布を正確に予測することが重要である。特に第1段静翼に関しては、フィルム冷却の採用を予定しているが、フィルム冷却の高精度な設計には、冷却性能試験装置によるデータの取得、すなわち、実機相当条件でのフィルムと主流の温度比および密度比での冷却性能データの取得、更にはその検証、性能改善が必要である。

本年度は、昨年度の基本計画に基づき、これらの仕様を満足する冷却性能試験装置を製作した。

2) 平成10年度の作業概要

2.1)装置および供試体の設計製作

平成10年度は、装置および供試体の設計製作、および計測装置の選定と購入をおこなった。装置の仕様を表2.2.1-1に示す。試験条件として、マッハ数、レイノルズ数、空気密度比を実機相似に設定する。試験装置に供給する空気温度は、最大500℃とするが、冷却空気と主流空気の温度比(密度比)は実機相当の値を確保する。

2.2)構成

装置の基本構成を図2.2.1-7に、試験設備内の装置の配置を図2.2.1-8に示す。試験装置は、既設の空気源設備に接続して使用する。平成10年度は、テストセクション、空気源および排気設備との接続部分の設計製作を行った。テストセクションの構成を図2.2.1-9に示す。空気の加熱は、精密な温度管理、均一な温度分布を実現するためテストセクション上流に設置した電気ヒータによって行う。

2.3)供試体

2.2.1.a)項にて検討した翼形状より、第1段静翼の中央断面を取り出して実物大の2次元供試翼列を作成した。図2.2.1-10に計測翼の断面を、図2.2.1-11にテストセクション内の供試体の配置を示す。供試翼は図2.2.1-12に示すような構成で、温度計測翼、圧力計測翼の2種類を製作し、試験目的に応じて組み合わせ試験を行う。計測翼、ダミー翼共に放電加工で製作した。

計測翼の温度、圧力計測点の設定を図2.2.1-13に、計測ラインの施工概要を図2.2.1-14に示す。温度計測は翼表面に埋め込んだ熱電対により実施する。温度および圧力の計測配線、配管は、翼プラットフォーム、計測用バルクヘッドを経て、耐圧チェンバ外に取り出す。

2.4)計測

主な計測項目および計測方法を表2.2.1-2に示す。以下の手法にて、実機相当の乱流強度を発生し、計測を実施するものとする。

・乱流強度は、装置上流に乱流生成格子を設けることにより調整する。

・高温ガス流路内部での乱流強度の計測は、熱流束センサによる間接計測とする。

 

また、試験翼面の温度圧力などの計測、およびセンサー類、流量調整バルブなどの制御は、すべて遠隔制御とした。

 

 

 

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