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3)まとめ

SMGTの高温タービンの設計データを取得するため、実機と等価な条件を再現でき、種々の条件での計測を迅速に行える冷却性能試験装置を製作した。H11年度は、本装置を用いて静翼の冷却性能試験を行う。また、第1段動翼についても模型および試験用ダクトの制作を行い、冷却性能試験を行う予定である。

c)冷却空気可視化試験

1)目的

翼冷却の有力な手段として、従来より冷却空気流路内面に乱流促進リブを設ける方法があるが、充分な設計データがない。このため、リブ配置と熱伝達率分布の相関を把握するため冷却空気可視化試験を実施した。

2)試験方法

試験装置概略を図2.2.1-15に示す。矩形断面流路の下壁には箔ヒータを貼っており、その上に感温液晶を接着し、その表面にゴム製リブを固定している。試験は、箔ヒータに通電加熱し主流を流した状態で液晶温度の静定を待ち、液晶の等温線を記録して行った。

3)試験条件

試験に用いたリブ配置は図2.2.1-16に示すような、直交リブである。今回の試験は、リブが無いとした場合の流力直径を代表長さとするレイノルズ数Reが10の4乗のオーダーであり、実機相当程度の条件である。

4)試験結果

4.1)リブなしの結果

リブなし面についてのヌセルト数とReの関係とKaysの実験式1)を図2.2.1-18に示す。図のように本試験装置の結果とKaysの実験式は良く位置しており今回用いた試験方法の精度は十分満足できるものと考えられる。

4.2)直交リブの結果

直交リブ流路における等熱伝達率線図を図2.2.1-19に、また、その平均値を表2.2.1-3に、流れ方向のヌセルト数分布を図2.2.1-20示す。ヌセルト数はピッチ比p/eが5よりも10の方が大きい結果となった。なお、直交リブは2次元流れに近く、リブの高さ比e/Bの影響は小さいと考えられる。

5)まとめ

冷却空気可視化試験の結果、実機相当のレイノルズ数(10の4乗)の場合、以下の事が分かった。

・滑面の試験では、ヌセルト数はkaysの式による計算値と良く一致し、試験及び計測の精度を確認できた。

・直交リブのヌセルト数については、ピッチ比p/e=10、15の方が、5の場合よりも大きい。

H11年度は、これらの試験結果を踏まえ、翼前縁、翼面ごとに最適なリブ形状を選定し、冷却空気を削減し得る冷却流路設計を行う。

 

 

 

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