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船舶排ガス用語

SOx:硫黄酸化物(Sulfur Oxides)。燃料中の硫黄分が燃焼によって酸化されることにより生成し酸性雨の原因となる。ディーゼル機関から排出される時点ではSO2ガスであるが、空気中で酸化されたり水分と結合しながら数百kmを移流し、酸性雨の原因物質となる。

NOx:窒素酸化物(Nitrogen Oxides)。主として燃焼中の高温における反応によって生成(Thermal NOx)し光化学スモッグ及び酸性雨の原因となる。化学的に不安定で影響の地域的範囲が比較的狭いため、地域的(Regional)大気環境問題の原因物質である。

NOxには原子状のO、Nによって生成するThermal NOxと燃料中の窒素酸化物とにより生成するFuel NOxとがある。Thermal NOxは温度が高いほど、また酸素分圧が高いほど生成量が多い。高圧縮比で回転数の遅い舶用機関では、生成量が原理的に多くなる。

CO2:二酸化炭素(Carbon dioxide)。主として化石燃料の燃焼により炭素が酸化して生じる。一酸化炭素(CO)は、排気管から排出される時にはほとんど二酸化炭素となる。地球温暖化問題の主要原因物質であり、各国の排出量削減目標が設定されている。

N2O:亜酸化窒素(Nitrous oxide)。赤外線の吸収が大きく、温室効果によって地球温暖化に寄与するとされている。また光分解により酸素原子と反応してNOを生成し、オゾン層破壊の原因となるとも言われている物質である。

HC:炭化水素(Hydrocarbons)。メタン(CH4)からベンゼン(C6H6)、ブタン(C4H10)にいたる水素と炭素で構成される化学的排出物の総称である。HCの成分であるCH3には温室効果があり、CH3以外のNMVOCはオゾンの光化学生成に大きく関係する。舶用ディーゼル機関では、負荷変動時や起動時など十分燃焼が進まない場合に多く生成される。

PM:微粒子物質(Particulate Matter)。燃料や潤滑オイルの不完全燃焼によって炭素の集まりとして生成されるもの、または灰や未燃物質などの微粒子固体物質の総称である。粒子状のため拡散範囲が狭いので、地域的大気環境問題の原因物質である。ディーゼル機関の排出濃度には燃料中の灰分や残留炭素分が影響を及ぼしているといわれている。

 

 

 

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