日本財団 図書館


(1)NOx 対策技術の評価

NOx低減技術の評価について表 4.2-1 および表 4.2-2 に示した。IMOの一次規制によりも厳しい削減率を考慮した場合には以下の低減技術が有効であると考えられた。

●前処理

A重油転換は、コストを考慮しない場合は、燃料切り替え時の操作以外には、技術上の課題もほとんどなく、主機、補機いずれにも適用が可能で、かつ部分負荷時にもある程度の効果が期待できる。しかし、その低減率割合は他の技術と比較して大きくないので、既存船舶への適用または港湾区域内のみでの適用などが有効であると考えられた。水エマルジョン燃料では20〜30%程度のNOx低減が可能となる。陸上固定発生源での実績もあるとともに、舶用機関の海上試験も行われていることから技術開発の熟度は高いと言える。水タンクの設置や造水及び乳化剤費用等のコストの上昇は避けられないが、主機補機共に適用可能な有望な低減方策である。

●内部処理

タイミングリタードを含む燃焼改善技術によってIMO規制値よりさらに10〜20%程度の削減が見込まれる。ただし、低減率が高くなるにしたがって装置改善等のコストと燃費の悪化に伴うコストの増加とを無視することができない。水層状噴射技術に代表される水利用技術も低減率が高く、陸上では一部実用化されており、主機、補機いずれにも適用可能な有望な低減方策である。

●後処理

SCRはNOx低減効率が極めて大きく最高90%まで低減可能と言われている。尿素水を用いたSCR技術は国内でも実例があり、北欧諸国でも多くの実績を持っている。イニシャルコスト及びランニングコストの増大、設備スペースの確保や低負荷時での使用上の制約など、船舶に搭載するには大きな課題があるが、高効率な脱硝を確実に実施することが可能な技術である。

また、IMO規制に対する各メーカーの対応状況を表4.2-3および表4.2-4に示した。

機関の承認段階に入っている4サイクル機関に比較して、2サイクル機関ではIMO規制への対応にやや対応に遅れが見られた。

聞き取りの結果、いずれの技術も、各メーカーとも部分負荷時における削減効果やその際の問題点の抽出などについての対応に遅れていることが明らかになった。特に

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION