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(3)輸送トンからの排出量計算方法

この方法はこの自動車など移動発生源からの排出量算定を行う場合に輸送トンキロ当たりの排出量をモデル化し、これに統計データである輸送トンキロを乗じて排出量を算定する方式である。輸送効率を示す一つの指標として輸送トンキロ当たりのCO2発生量がよく用いられる。燃料が燃焼する際に発生するCO2量はほぼ一定であることから、以下の関係式が成立する。

輸送トンキロ当たりのCO2発生量=係数×輸送トンキロ当たりの燃料消費量

日本国内における輸送トンキロ当たりのCO2発生量は交通機関ごとに表3.1-4のようにまとめられており、貨物自動車の平均と比較して8分の1程度となっている。一方、モーダルシフトなどの検討において内航海運のCO2排出量原単位は37t/106トンキロ、鉄道のCO2排出量原単位は25t/106トンキロとなっており、鉄道の輸送トンマイル当たりの燃料消費量は、内航海運のそれの2/3程度となっている。鉄道輸送においては、1986年前後で大きな改善が見られるが、これはJRの地方主要路線の電化が完成し、貨物輸送におけるディーゼル車両の使用が減少したためである。その後も、チョッパ制御モーター、VFインバータ制御車両および電気回生制御技術などが、貨物輸送車両に対しても導入されており、高い効率を上げているものと推測される。

図3.1-1には、内航船舶明細書に記載の一昼夜当たりの燃料消費量、航海速力、および積載重量から算出したトンマイル当たりの燃料消費量を示した。

図中0.01kg-Fuel/トンマイルをCO2排出量に換算すると50t/106トンキロに相当し、499総トン程度の小型船舶の場合には運輸省発表の数値(表3.1-4)を裏付ける結果となっている。

次に外航海運のトンマイル当たりの燃料消費量を図3.1-2に示した。これは運航業者へのアンケート調査をもとにしており、輸送トンマイル、燃料消費量とも実績値から算出した。

外航海運では、自動車運搬船を除くと0.005kg-Fuel/トンマイル以下となっており、内航海運や鉄道と比較しても輸送トン当たりのCO2発生量は少ない。船種による違いをみると、タンカーが最も低くコンテナやPCC船(Pure Car Carrier)はその数倍以上悪くなっていることがわかる。

これは、タンカーが液体燃料のため船倉内のデッドスペースが少なく、さらに経済スピードで運航されるのに対して、コンテナ、PCC船については速度を優先して運航されていること、PCC船については船倉内のデッドスペースが大きいこと、を反映しているものと考えられる。

 

 

 

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