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3] 黒潮源流域調査

沖縄島-南・北大東島間を運航する定期船に偏流・水温計測システムを設置し、海況変動モニタリングを実施した。その結果、平均的には沖縄島-南・北大東島のほぼ中間を境界として、沖縄島よりでは0.3ノットの北東流、南・北大東島よりでは0.2ノットの南西流を示すことが明らかとなり、また渦様の流況が数回確認された。

 

4] エネルギー伝播メカニズムの解明

 

(2) 大気変動への影響解明

1] 大気擾乱による亜熱帯高気圧変動への影響解明

沖縄南方海域で台風9507号の発生期の観測を行い、台風中心の南東側に、幅の広いエコーバンド、また北西から西側に線上エコーを観測した。また、高層気象観測より、乾燥した寒気層の起源と考えられる亜熱帯高気圧の様相が、この台風の生成、発達および移動方向に大きく寄与しているものと推測された。

 

2] 水温変動による亜熱帯高気圧変動への影響解明

1995年夏の熱帯域の海面水温は西大西洋で正偏差がみられ、ラニーニャ的傾向を示した。熱帯域の対流活動と500hPaの高度場のラグ相関係数の分布図から1995年の太平洋域の高度偏差変動パターンは主にフィリピン付近の対流活動によって励起された波列パターンに対応することが分かった。

 

(3) 海洋生物の生体への影響解明

1] 動・植物プランクトンの分布と生産構造変動の把握

琉球リッジ付近で1994年6月と1995年10月に黒潮を横切る海洋観測を行い、海洋構造の特徴と低次生産との関係を考察した。これらの海域の夏期の季節躍層とクロロフィル極大の形成には、梅雨時の降水が重要な役割をもつことが推測された。

 

2] 表層性魚の初期生態変動の把握

四国南方から南西諸島周辺域において調査を行い、表層性魚類仔稚およびその餌料生物の分布について検討した。餌料生物である動物プランクトンの現存量は、南西諸島周辺域では黒潮流軸に近い海域で多く、昼夜とも100m以浅で多かった。

 

(4) データの標準化

調査航海データを標準化処理し、各マスターファイルにマージして保管している。また、標準化処理されたデータは、磁気媒体および刊行物により各関係機関に提供している。さらに、受領した情報をとりまとめ「海洋調査報告一覧」として各関係機関に提供している。

 

プロジェクト評価

[公的評価]

 

[委員コメント]

日中黒潮国際共同調査として、2国間の協力・競合により東シナ海から太平洋にかけての黒潮流量の季節、経年変動、さらには対馬暖流形成の実態解明等多くの成果を得た。

 

出典:「平成7年度 黒潮の開発利用調査研究成果報告書」(科学技術庁研究開発局)

 

 

 

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