プロジェクト名 魚介類の初期生態解明のための種判別技術の開発 農林水産省
研究期間 平成7〜9年度
予算
研究体制
(1) 卵・稚仔・幼生の免疫学的・分子生物学的特性の解明
1] 免疫学的特性の解明(中央水産研究所、北海道区水産研究所、南西海区水産研究所)
2] 分子生物学的特性の解明(中央水産研究所、東北区水産研究所)
(2) 水産資源初期生態調査における種判別法の開発
1] 光学的手法による迅速前処理法の開発(東京大学海洋研究所)
2] 免疫学的種判別法の開発(中央水産研究所、北海道区水産研究所、南西海区水産研究所)
3] 分子生物学的種判別法の開発(中央水産研究所、東北区水産研究所)
研究概要
(1) 卵・稚仔・幼生の免疫学的・分子生物学的特性の解明
本研究では、種特異蛋白質を用いた酵素抗体法、およびミトコンドリアDNAの種特異性のある領域をPCR法により増幅し検出する等の生化学的手法の導入を図り、微量で形態の未発達な発育段階の種や捕食されて形態識別の困難な試料中の種の新しい同定方法を確立する。
1] 免疫学的特性の解明
マサバ。ゴマサバ、アジ科魚類等浮魚類の識別困難な卵、タラ類、カレイ類等の成熟卵およびアサリの卵黄、卵膜。幼生、成体の各種組織等の蛋白質について生化学的性状の分析、精製を行い、種特異抗原を特定する。また、各種蛋白質抗原に対する抗体を作製し、種判別用特異抗体として試料に対する結合の検出方法を検討し、種間の交差反応性の検討を行う。
2] 分子生物学的特性の解明
サバ類(マサバ、ゴマサバ)、タラ類(マダラ、スケソウダラ)では、卵・稚仔発生量調査において相互の識別が困難な稚仔の種判別のために、また、ヒラメでは小型甲殻類等に捕食された消化管内ヒラメの種同定のために微量のDNAをPCR法により増幅し、種特異領域の検出や切断片多型分析による種同定方法を確立する。
(2) 水産資源初期生態調査における種判別法の開発
本研究では、(1)の「卵・稚仔・幼生の免疫学的・分子生物学的特性解明」で開発された新手法をフィールドの試料に適用するための検討を行い、必要な処理・保存技術および大量処理技術の開発を図る。
1] 光学的手法による迅速前処理法の開発
試料の前処理法として画像解析装置による形態、カラー識別により、目的生物以外の物を迅速に分別する方法を開発する。
2] 免疫学的種判別法の開発
水産資源生物の初期生態解明のため「免疫学的特性の解明」によって開発された新しい生化学的手法を実際のフィールド調査試料に適用し実用化を図るために、浮魚類ではサバ、アジ類、底魚類ではタラ類、カレイ類の卵・稚魚、二枚貝類では浮遊幼生を用いて、迅速かつ簡便に行いうる大量処理方法の開発を図る。
3] 分子生物学的種判別法の開発
卵・稚仔調査における多数の種類の中から目的種を的確に把握し、その発生量を推定するための生態調査や捕食特性から形態が残りにくい場合の被食仔稚魚の同定を行う目的で、「分子生物学的特性の解明」の結果を利用して種判別技術の開発を図る。また、実際のフィールド試料に適用するための手法の検討および試料の処理方法の検討を行い、迅速に行いうる大量処理方法を確立する。