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(3) 分野別にみたプロジェクトの動向

各分野別に「科学技術から見た海洋」に関連した研究開発プロジェクトの動向をまとめた。

 

1] 海洋科学

「海洋物理」、「海洋科学」、「海洋生物」、「海底地質学」いずれについても非常に数多くのプロジェクトが実施されている。内容的には基礎的な方向性が強いが、地球環境問題の解決に向けた視点から、解決に必要な知見を得るためになされているものが多数みられる。省庁で比較すると、特に科学技術庁、農林水産省、通商産業省、運輸省などが中心となっている。なお、「水中考古学」に属するプロジェクトは見当たらない。

 

2] バイオテクノロジー

省庁で比較すると、科学技術庁と農林水産省が「遺伝子工学」、通商産業省が「マリンバイオ」についてのプロジェクトを有している。しかしながら、「マリンバイオ」、「遺伝子工学」いずれについてもプロジェクト数は少なく、その意味からも今後の展望が期待される分野の一つである。

 

3] 情報通信技術

「海底ケーブル」に関するプロジェクトが科学技術庁により3件実施されているだけであり、その他の省庁では該当するプロジェクトはみられない。また、「水中コミュニケーションシステム」については、該当するプロジェクトが見当たらない。

 

4] 海洋エネルギー技術

「洋上発電所」、「洋上新エネルギーミックス」、「濃度差発電」、「温度差発電」、「バイオマス発電」、「水素エネルギー」、「原子力エネルギー」いずれについても、海洋に関連した視点からは、プロジェクトは実施されていない。唯一、運輸省に波エネルギーに関するプロジェクトがみられるが、これも予算の都合上1年で打ち切りとなっている。「海洋エネルギー」については、プロジェクトがないことから今後の展開も期待される反面、コストに見合った需要があるかどうかが問題になってくると考えられる。

 

5] 共通要素技術

「センシング技術」については、特に海洋音響トモグラフィーに関するプロジェクトが複数実施されている。

また、「動力技術」としても燃料電池等に関してプロジェクトがみられる。一方で、「映像技術」、「バイオメカニクス」、「マイクロマシン技術」、「材料技術」については、まだほとんど手がつけられていない。省庁で比較すると、「共通要素技術」に関しては科学技術庁が主体的に取り組んでおり、一部、通商産業省や運輸省も関与している。なお、グローバルリサーチネットワークという視点で、建設省のプロジェクトがみられる。

 

 

 

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