(3) ORBの利用
昨年度は、市販CORBA製品のORBコア機能を用いてプロトタイプを構築したが、更に実運用で必要となると考え、ネーミングサービス及び非同期通信(oneway)を利用するプロトタイプシステムを作成し、運用上の留意点を検討した。
(4) 市販ソフトウェアとの連携
市販ソフトウェアとの連携は、システム開発コスト及びユーザートレーニングコストの削減という観点から実用化にとって非常に重要な問題である。昨年度はWindows環境で稼働する市販ソフトウェアからCORBAサービスを利用する方法を調査したが、本年度はCORBAクライアントからWindows環境で稼働する市販ソフトウェアを利用する方法を実装した。
S2.6.2 運用シナリオと試行環境
(1) 運用シナリオについて以下に述べる。
(a) 対象業務
この運用実験で用いたプロトタイプは、検証用に作成した船舶設計における初期の生産設計、すなわちブロック分割業務を対象とするAPにセキュリティ機能を付加し、管理物量表示のためにExcelとの連携機能を付加し、運用環境にネーミングサービスを使用したものである。初期生産設計とは造船所の設備制約や施工方針に基づいて船体構造をいくつかのブロックに分割し、各ブロックの施工の容易性・所要工数・安全性・工場設備(装置や施工場所)や操業の負担分担(配員や外注)を検討し、最適な(基本的にはコストミニマム)生産方式を決定する業務である。プロトタイプではブロック分割を行い、その結果得られる管理物量を算出して数値を画面上に表示するというシナリオを基に運用実験を行った。
(b) 操作プロセス
初期生産設計業務(ブロック分割業務)を対象としたプロトタイプの操作プロセスに対応して、人間、APやサービスがどのように対話し、動作するかについて説明する。
(ア) システム管理者による前準備
プロトタイプを起動する前準備として、システム管理者はGFサーバーとDFFサーバーを活性化状態(クライアントからのリクエストを受け付け可能な状態)にする。その際ネーミングサービスに対して、GFサーバーとDFFサーバー内で活性化されたオブジェクトのIOR (Interoperable Object Reference)が登録される。