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S2.6 プロトタイプ試行によるインターネット環境におけるORB運用技術の検討

昨年度は、ACIMリファレンスアーキテクチャを実現する要素技術のうち、特にGPME及びCORBAの利用に焦点を合わせ、実際にプロトタイプを実装して早期に実装上の問題点の検討を行った。その結果、現状の市販ORB製品及びGPMEを利用して、ACIMリファレンスアーキテクチャに基づくアプリケーションを構築すれば実用上問題のないことが確認できた。また、プロトタイプの開発を通して、CORBAの基本概念、APの実装方法及び開発ツールの使用方法に関する技術蓄積を行うことができた。

本年度は、実用化という観点から、インターネット(World Wide Web)技術の利用、セキュリティ、市販APとの連携などのORBベースシステムをインターネット上で稼動させるに必要な周辺技術に関して運用上必要となる機能を実装し、技術的課題に関する問題点の検討を行った。これら周辺技術は昨今のシステム構築における重要課題であり、実用化を考える場合企業レベルのシステム運用には欠かせないものである。

 

S2.6.1 実施内容

(1) インターネット(World Wide Web)技術の利用

WWWの情報技術から見た長所は次の通りである。

・地理透過性:

URI (Uniform Resource Identifier)により一意的に識別されるコンテンツは、それが地理的にどのくらい離れていても、自身が使用するPC内のコンテンツと同様なプロセスでアクセスすることができる

・プログラム配布コストの削減:

エンドユーザーの利用するAPのバージョンアップは、従来そのユーザー数にコストが比例していた。Javaアプレットによる実装では、WWWサーバーから各ユーザーが実行時にダウンロードすれば配布コストをほぼ零にすることができる

・運用コストの削減:

Javaアプレットによる実装では、APは既存のブラウザ上で実行されるため、初期投資のみ(無償のものも存在するから、それを利用すれば初期投資も不要)でAPが増えるたびに、プラットフォームに関する新たな投資を行う必要がない。また、専用端末が不要なので、オフィススペースを節約することができる

これらはWWW、Java、ブラウザソフトウェアの組み合わせにより可能となるものであり、業務APをこの形態で運用することが実用上問題ないかどうかを検討した。

(2) セキュリティ

Web関連技術はその長所である地理透過性、ハードウェア非依存の性質から逆に悪意を持つ利用者により、簡単にデータの不正アクセスや改ざんが行われる可能性がある。そのため、業務APへのWeb技術利用に対して慎重に対応する企業も多いが、そのような保守的な対応ではシステムの高度化を図ることができない。それで、Web技術利用に関しての弱点を補うため、Web上で広く使用されているSSLを用いてセキュリティ管理の仕組みを実装した。

 

 

 

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