(b) 初期工法検討のための組織体制
図S2.2-3はエアバスインダストリー社におけるチーム編成を示す。同社はアエロスパシアル社を含む4か国の航空機製造会社をで分担生産する旅客機の企画・計画・設計・生産を総括していて、図中のコアチームが担当するのは:
・機体全体の基本設計
・ブロック分割の検討
・4社間の分担生産の最適化
・新規製品に合わせた設備変更
等の主要業務で、造船業における大日程計画・機能設計・初期工法検討の業務に相当する。機種の基本方針を決定するコアチームは、いわゆる設計部・生産部とは独立した組織になっている。もちろん、そのメンバーは設計・生産部門の生産技術出身の優秀な技術者から構成されている。
さて我が国では、造船所のブロック分割業務を遂行するに当たり次のような組織体制を敷いている。生産部門ではラインから離れた生産計画の担当者が各業務の生産性向上を集約し最適解を模索して生産部門案を提案する。それを受けて、設計部では船殻設計課等の主要担当者も参画して、適時節点を持ちながら全体的な検討を行い最終的な案を決定する。
最終案をより最適、より合理的に導く体制として、例えば、ブロック分割を検討する業務、大日程を計画する業務を所掌する部隊を設計部・生産部から切り離した造船コアーチームを新規設立する案が考えられる。工場の状況と合致した場合には参考となる。設計・生産技術・生産計画・生産・システムの業務を5年から10年も経験した担当者をローテーションの一環として集結させる。初期生産方針や工作法を多方面から最適計画するとともに、各チームメンバーは造船スーパージェネラリストとしても養成される。