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(4) ディジタルエンジニアリング

パソコンの高機能化、特にCPUとグラフィックス能力の向上に伴い、従来高価なUNIX系ワークステーションと3次元CAD・CAM・CAE及び関連のシミュレーションソフトウェア(以下これらを一括して「ディジタルファクトリー」用ソフトウェアと称する)が汎用のWindows NTパソコンでも稼動するものが市場に数多く出回ってきた。

これらディジタルファクトリー用ソフトウェアの中核をなすのが、「3次元モデリングカーネル」と称されているソフトウェアライブラリである。3次元モデリングカーネルは単に部品や製品のPMの3次元的な幾何学的構造を表現するのみならず、CAD・CAM・CAEの総合環境で異機種間データ互換性確保のため必要とされる許容誤差の定義や操作履歴の保持等の機能も併せ持つ。

この3次元モデリングカーネルは、今後ミッドレンジCADを始めとするディジタルファクトリー用のソフトウェアが広汎に普及するに従って業務効率化を大きく進展させる可能性を秘めている。

また、これらの3次元モデリングカーネルに基づくPCベースの市販CADは、その周辺ツールに関しても整備されつつある。

例えば、PDMは3次元CADと密接な関係にあるが、従来、非CADメーカーからの製品が大きな市場を占めてきた。しかし、最近の動きとしてCADメーカー側がむしろPDMをデジタル化された設計・製造プロセスにおける統合環境の一構成要因として、積極的にCADとPDMの連携を指向している。CAD大手メーカーの動きをまとめると表S2.2-1となる。

 

表S2.2-l CADメーカーのCADとPDMの統合化

189-1.gif

 

ディジタルモックアップツールや生産シミュレーションツールも、現実の工場レイアウトや作業性のチェックなどの用途に、主として自動車関係を中心に適用され始めている。これらのツール群は、汎用3次元CADから直接データ(部品、工場レイアウト等)を取り込めるようなインタフェースを提供している。これらのツール群は言わば3次元CADに時間軸を加えて、4次元的な状態変移をコンピュータ上で表現可能としていると言える。

 

 

 

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