(3) XMLによる情報・知識・メタ情報の統合化
XMLはXLinkやXPointerなど新規に導入されたインターネット上の文書間連携機能により、現在及び将来のWeb環境が必要とする文書管理機能を豊富に備えている。しかし、XMLが現在燎原の火の勢いでWeb上に広まっているのは、SGMLやHTMLでは不可能であった文書管理機能以外の活用、すなわち、アプリケーションへの適用可能性のためである。
これらXMLの活用用途のうち、本開発研究並びに造船業を含む製造業全般の今後の情報技術活用に深く関係すると思われる「XMLベースのメタモデル」について述べる。
・XMLは階層化可能なデータ構造(Semi-structured Data)を表現できる。それで、単に通常のRDBのようなテーブル形式のデータ構造のみならず00DB的なデータ構造も表現可能である。
・文書構造ではなく、データベースとしての管理機能を表現する形式としてXMLを捉え、次のような機能拡張が現在提案されている。
1] RDBの「join」に該当する機能を実行するために必要なキーの定義
2] クラスの継承関係(親子関係)の表現
3] DTD (Document Type Definition)機能のXMLによる定義
4] パラメーターのデータタイプの定義(汎用のプログラムに渡すパラメーターの記述が過不足なく可能となる)
5] 複数のDTDを持つことを可能とする(名前空間の区別で粒度の細かいクラス構造が表現可能)
・XMLを使うメリットは単にメタモデルの構造的内容を汎用的に書けるという利点だけでなく、現在データモデルの表現法のde factoな標準として普及しつつあるUML(Unified Modeling Language)と組み合わせてそのモデル構造を視覚的に表現することが可能になることである
・本開発研究でもテーマの一つとなっているワークフローのシステム的側面に関しては、Webベース(すなわちHTTP+XML)の新しい規格(SWAP: Simple Workflow Access Protocol)が提案されているが、プロセス記述に関しては未定義であり、一つの試案としてKIP(Lisp)ベースのPIF(Process Interchange Format)をXMLの形式に則って表現しようとするXML-PIFが提案されている。今後のWeb環境下におけるメタモデルはこのように単に機能が備わっているだけではなく、XMLで記述できることがユーザーに受け入れられる必要条件として要求されることとなろう。その意味で、Webの規格化の中心的団体であるW3コンソーシアム(W3C)のXMLベースのRDFを中核的メタモデルとして活用を推進していく意向がこのような傾向を更に強めるものと思われる。