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(c) L3-新しい組織・勤務体系化

現場作業者の多能工化が進む。船殻と艤装を共通に扱う配材組立職や溶接職の区分になり、職長と作業者の2階層となって組織は平坦化する。職区は配材・溶接職の集まりではなく、場所とか棟による職区割になる。

職区ごとに生産性が競われ、姿勢別溶接長、パス数、アークタイム率等の高精度の評価指数に基いて作業者や職区は評価されることになり、結果として職場の活性化の源になる。

以上のように、高度造船CIMは設計・工作ステージの変革をもたらすことになる。

一方、その前後ステージである営業やアフターサービスについての変革イメージは以下の通りである。

(9) A-営業

(a) A1-営業のフレキシビリティの向上

共通PMを介してあらゆるステージでの企業間情報交換、インターネットを介したアプリケーションの利用が可能となり、バーチャル企業が実現される。対象プロジェクト(受注船)に対して強さを持つ世界中の企業やエンジニアリング会社と提携し、フレキシブルな設計・生産体制が可能となり、自社の設計・生産資源と作業山積みを考慮した部分受注等の受注バリエーションが増える。

(b) A2-提案型営業の増加

初期検討作業が格段に効率化されるので、種々のケーススタディを通して最適化された製品開発が可能となり、魅力ある製品を提案できる。また、大型案件に関しては、前述した企業連合によってニーズを先取りした事前検討が効率的に行われ、綿密に検討された魅力あるプランを顧客に提案できる。

(10) B-引き合い

(a) B1-客先のニーズへの対応の迅速化

顧客ニーズにマッチした製品を提示する提案型引き合いとなる。技術打ち合わせシステムをモバイル端末に搭載し、製品カスタマイズを客先で実施し、ニーズヘのきめ細かい迅速な対応と早期仕様確定が可能となる。また、粗い情報に対応したPMと整理された実績データベースと購入品の見積もりのCALS化により、迅速に確度の高い見積もりが可能となる。

 

 

 

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