(b) 細かいメッシュの進捗管理
プロセスモデルを介して作業者間で作業進捗情報を共有するので、作業待ちなどの無駄を排除できる。また、プロジェクト管理者はそれまでより詳細なメッシュでの設計進捗管理が可能となる。
(c) 業務手順の共有化と標準化
プロセスモデル構築のために現状業務フローの分析と記述を行い業務プロセスを明確に記述することによって、業務手順の共有化と標準化が図られる。更に、その作業プロセスの改良を進めてより良い業務プロセスの構築が可能となる。
(d) ノウハウの蓄積と保存
熟練者の作業手順に関するノウハウをモデルに蓄積し、企業資産として保存することができる。こうして、ノウハウの共有が可能となり未熟練者の作業の質と作業効率の向上を図ることができる。
(e) 定形作業の自動化
プロセスモデルにより定形作業の自動化が図られる。また、プロセスモデルを参照してアプリケーションを自動的に実行すればPMの自動生成も可能となる。
(4) 知的エージェント技術による新しい設計協業環境
高度造船CIMは、PMとプロセスモデル、更にネットワーク上に分散したアプリケーションを最新の分散オブジェクト技術で緊密に連携させることによって高度な知識共有を実現できる。複数の設計者は高度造船CIMの環境で設計チームを組んで業務を進めるが、この協業作業を円滑に行うための潤滑油的メカニズムとして、新しい情報技術である知的エージェント技術を適用している。エージェントは、文字通り人間の様々な行動を賢くサポートする機能を持つソフトウェアであり、各作業者のコンピュータには必ずエージェントが存在し、その支援を受けながら人間とエージェントが協調して作業を行うことになる。この知的エージェント技術によって、高度造船CIMでは、以下に示すような新しい設計協業支援の枠組みを実現する。
(a) 設計作業における協業支援
エージェントはプロセスモデルを参照し、あらかじめ定義された業務プロセスに沿って設計チームの作業が進行するように、適切なアドバイスを設計者に行って進捗遅れの設計者に注意を喚起する。
(b) 設計作業の信頼性向上
エージェントは、高度造船CIMのシステム環境で作業する人間の操作や設計チーム間の情報交換を全て監視しており、どの設計者間の作業が関連しているのか、各々の設計者が作業しているPMのどの部分に関係があるのかを知っている。従って、ある作業者が設計変更を行った場合、エージェントは関連作業者に漏れなく設計変更があったことを自動的に連絡するので、整合性が確保された設計が可能となって信頼性が向上する。また、ある情報が確定した場合には、エージェントは関連する設計者に自動的に情報が確定したことを知らせ、時宜にかなった設計の進行を支援できる。